健康保険証の行方

今朝になって、社長から昨日のメールの返事が来た。
「給料遅れてすみません、来週火曜日以降になります。保険証と鍵もそのときでいいです」
大体そんな内容だった。
会社でお願いしている行政書士事さんは社会保険労務士も兼ねているので、すぐにそこに電話して聞いてみた。すると、離職票やその他退職にかかる書類を作るときは、たいてい健康保険証を返却してから作成するものらしい。
保険証を返さなくては離職票がもらえないってことだ。社長は良くても、私はちっとも良くない。
今までの素行を鑑みるに、社長としては給料が払えてないから私と顔を合わせたくないんだろうが、私にしてみればそんなのはいつものことだ。それよりさっさと必要書類を作って欲しい。
何故そんなに急ぐのかというと、給料をまともに貰えるとは思っていないからだ。今月、来月と支払いをずるずる引き延ばされると、ただでさえ引越しで物入りなのに、こっちが日干しになってしまう。社長より社会保険庁のほうがなんぼか信用できるし、失業保険の受給はこちらが手続きをした日から計算されるので、さっさとそっちを済ませてしまいたい。最悪、給料を取り立てるのに時間がかかっても、生活費が間に合うようにしてしておきたいのだ。
そこで再度、社長にメール。給料はともかく、保険証は返したいので会社に行きます。
案の定、返事はない。仕方ないのでそのまま会社に出向くが、事務所には鍵がかかっている状態で、中に入って(私は事務所の鍵を持っている)確認しても今朝から社長が来ている形跡はなかった。
じゃあ、奥の手。社労士さんにもう一度電話して相談の上、直接そちらに届けることにした。念の為、その旨を社長にもメールして、社労士さんの事務所へ向かう。
というか、最初からこの展開を狙っていたんだが。
健康保険証をサラ金に持っていけば借金できるから、できるだけ社長には渡したくなかったのだ。いくらなんでもそこまでするかというと、それは判らない。普通はしないだろうが、相手は追い詰められているしまともな人間ではない。以前、何故か先輩社員の名前の三文判が社長の鞄から出てきたこともあるのだ。本人の預かり知らないうちに何に使われたのか、今もって判らない。用心に越したことはない。
給料遅延もあるよ、と社労士さんに伝えたところ、「給料遅延も労働基準法違反ですから」とのお言葉。ああ、そうね。そんなまともな話は久しぶりに聞いたわ。内容証明を送りつけるとか、監督局に指導してもらうとか、強硬な手段に訴えるのはもう少し様子を見てからだが、事実は事実としてプロ目線の第三者にも周知しておきたかったので、これで今日の目的は果たされた。私ひとりであのバカは相手にできない。
給料については無い袖は触れないだろう。社長は来週の火曜日、つまり十月三日頃と言っているが、その根拠がどうも希薄なので、もう少しズレ込んで十日ぐらいまで待つかなと予想している。来月分はともかく、今月分だけは貰わにゃこっちもどうにもならん。
しかしこうなると、社長はしばらくつかまらなそうだなぁ。保険証を返しても、賃金台帳やら会社のハンコがないと書類は出来ないんだよな。そっちは見切って、先に東京に行くか。