勇み足

新居の契約をしてきた。上京するぞするぞと勢い余って、東京都を通り越して隣の県に突入してしまった。あれ、都民になれなかったよ、また市民だ。しかも時間の潮流に流されずぽっかりと浮かんでいるような、妙にほのぼのとした地域‥‥というか、山のてっぺんで駅まで遠い! 山を降りなきゃスーパーもない! その山が険しすぎて自転車も無理。仙台の今の部屋よりも不便って、どういうことだ。
もうちょっとちゃんと貯金があればと思うが、前の会社が予想以上に早くへたってしまったのだから仕方ない。すぐに貯金を始めて、便の良いところに引っ越すことを目指そう。どうせ最初の一年は給料も安いし、それまでは我慢だ。って、二年目以降も安かったらどうしよう。
それにしてもしかし、話を聞くと首都圏の人は家賃にシビアだ。首都圏における家賃というのは、やっぱり非常な負担を感じさせるものなんだな。満足度の対価としては高すぎるんだろう。
物件選びでは生活感覚の違いが浮き彫りになるのも面白い。パート主婦はコツコツ節約して他に廻したいのか、多少条件が悪くてもとにかく家賃は抑えるという意見だった。振込み料金はケチって銀行のはしごを厭わない一方で、千円以上のランチを食べたりする感覚だ。バリバリ働く人は逆に時間を惜しむ。普通にフルタイムで働いていて定時では帰れない人ならよく判ると思うが、多少の金額を払っても便利なほうを選ぶ。
私の感覚は、働くお父さんに近いのだと思う。他者のためにより居心地の良い巣を確保し、多少不便でも時間もなくても我慢して、節約もしなきゃ仕方ない。その程度やバランスは稼ぎによって違うだろう。ということは、自分の稼ぎがもっと多ければ我慢は少なくて済むのだから、どこにも不満の持っていきようがない。人によっても優先順位は違うし、一人暮らしだったり配偶者がより多くの収入を得ている人に話を聞いても、バッチリとは噛みあわないのは当然かもしれない。もっとも、それ以前に今回はいろいろ条件が重なって、あまり選択の余地がなかったのだが。
あと物価も高いからねとよく言われたが、近隣のスーパーを廻った限りでは仙台とそう変わらないように思えた。逆に首都圏のほうが競争が苛烈だろうし、ここ数年の価格破壊・デフレの影響は地方よりも強く受けているんじゃなかろうか。ま、ウチは他人が吃驚するほど買い物をしないので、物価については最低限の食料品と日用品さえバカ高でなければそれでいいのだ。


さて、次は引越し屋さんを呼んで、見積もりと日程の詰めだ。
引越し料金は二十万円ぐらいみておけというアホな話もあったが、繁忙期*1じゃあるまいし、いくら長距離でもウチの荷物量でそんなに掛かるかい。引越しのときは誰もが「うちは荷物が少ない」と思うというが、一応私は元プロだ。
引越し業界では単身パックというのは、親元から初めて出る人や単身赴任者などの家財道具のない状態でなければ入らない。ウチの場合はふたりだし家財道具が一式あるので、やっぱりトラックを使わなきゃ無理だろう。だがそれでも、せいぜい十万円といったところではないかと思うが、これ如何に。

惑う。

洗濯機は買い替えの方向で検討中。やはり古すぎるし、リサイクル料金は掛かるけどいい機会なんだろう。
次の迷いはガステーブルと石油ストーブ。ガス種は調整すれば多分使えるが、これも高いものじゃないし、もう十年使ってるんだよな‥‥灯油も管理が面倒だし、首都圏で熱効率の良い暖房は必要ないだろう。ちっこい三千円くらいのセラミックヒーターとホットカーペットで充分なのかな。
夏前にはエアコンは買うつもりだし、ストーブは一年目用および災害用に持っていったらという話もあるが、災害が起きたとして、その場に灯油がなければ無用の長物と化すわけだ。しかもアレか、ふたつ持っているストーブのうち、ファンヒーターじゃなくて煮炊きのできる反射板のほうを持っていったほうが災害時には役に立つだろうが、それもどうなのかという気もする。
なんちゅうか、こうなってくると面倒臭いので全部捨てたくなってくる。

*1:繁忙期は閑散期と比べ、実に三倍近い料金を取ることもある。