続・後日談

鬼瓦さん(参考:「修羅場で八つ当たりもされます」)から電話が来た。
急にどうしたのかと思ったが、私は引越して心機一転を図ったので物事が途切れたように感じているけれど、空の向うでは当然のことながら連綿と続く時間が流れているわけで、別に唐突でもなんでもなく事後処理が滞ったまま暗中模索の末、私のところに辿り着いたらしい。
ああ、そうか。電話番号を教えてくるのを忘れたのか。といって私に連絡がついたからといって、何のお役にも立てないのだけど。


逃げたギャオス社長は相変わらず捕まらないらしい(参考:「後日談」)。しかし目撃情報があって、まだ仙台にいるんじゃないかといわれた。それが先輩(♀)(参考:「最終局面*1)の住所の近辺だったので、やっぱり二人は一緒にいるんだろうと。
前々からそういう関係だったらしいことも、確定的な裏が取れたとの風の噂。風はなんでも知っている。
あれから半年、事務所は未だ表に「しばらく休業します」と張り紙をしたままになっているらしい。大家さんの本職は弁護士さんなのだが「しばらく」というのが曲者で、明確に「いつ」なのか期限が切れないんだそうだ。それも厳密には時効というか「一般的に認められる期間」とかいうのがありそうだが、もしかしたらそれは年単位なんじゃなかろうか。蒸発した人の配偶者が申し立てて離婚が認められる期限は七年だったか。
というのは、焦げ付いた債権を放置したまま夜逃げされた鬼瓦さんの談で、手当たり次第関係者に連絡をとりまくり、大家さんに掛け合って事務所に入れてもらおうとして断られたんだそうだ。差し押さえるにも通帳が判らないとどうにもならないからな。私は事務所の鍵をまだ持っているけれど、もし鬼瓦さんが勝手に事務所へ入ったら不法侵入になってしまう。あの詐欺師相手にそういう弱みを作るのは避けたほうが無難だろう。それにギャオスのことだから、逃げる直前に口座を移すぐらいのことはやっていそうだ。
あちこち情報をかき集めてみると、ギャオス社長のご学友であり債権者仲間であった家具屋さんは、いつのまにか返済してもらっていたらしい。もうひとりの同士であるところの先輩(♀)は例の通りで、鬼瓦さんは結局孤立無援になってしまった。
ギャオス社長が行方をくらますちょうど一年前に離婚した奥さんは、ギリギリのところで逃げおおせたということだろうか。人間不信に陥っているらしい鬼瓦さんは、それすら女房子どもに累が及ばないようにとの、計画的な協議離婚だったんじゃないかと疑っているんだそうだ。


うん、それは判らないが、有り得なくもないだろうな。
そんで別の、しかも何年も、その上歪んでいる、愛人関係にあった女性と住んでいるっていう捩れも、あの男なら有り得なくはない。

*1:この時点で私は「ふたりは愛人関係ではなかった」と勘違いしたが、蓋を開けてみたらやっぱりそうだったらしい。私は人を見る目がない。DV及び共依存‥‥であったのだろうな。ということは、その環境から彼女は未だに逃れられていないのだ。私にもう少し物事が見えていれば、ちょっとは結果は違っただろうか。ただ心が痛む。