現場事務所というところ

物を作るというのは馴れである。
なんでも作れると思えば作れるし、そんなのどうやって作ったらいいのか判らないと思えば作れない。材料と道具と知識があれば、上手い下手は別として世の中にある人工物の大概は作れるんである。この道具があれば、というのがくせもので、知識があっても道具がないために作れないということは往々にしてある。そういう場合は必要なものを持っているか持っていないかが、業者かそうでないかの分かれ目になる。しかしその道具も人工物には変わりなく以下略。
ところで現場事務所に居る人たちは、物を作るということに馴れきっている。むしろ無ければ作れの精神でできているといっても過言ではない。残業で寿司を取ったはいいけど、あいにく醤油を入れる小皿がついていなかったとすれば、果敢にその辺の紙コップを加工して代用し、棚が欲しければベニヤの廃材を拾ってきて適当に組み立て、アレが不便だといえば洒落っ気でちょこちょこっと手を動かして道具を作る。とにかく漫然と不自由に甘んじるということはないのだ。
更にところでプレハブ小屋というのは非常に熱効率が悪い。さして広くもない部屋でも、冷房をかけるとエアコン真下の人は震えるほど寒いが、ちょっと離れるともわっとして全然効いてないというくらいの温度差が出る。動線からいって尻を落ち着けている人は奥のほうに居て、中と外を出入りする人は入口近くに陣取る。そして配線や小屋のつくりの関係から、エアコンは往々にして奥のほうにあるのだから始末に悪い。外に出ていて戻ってきた人は暑いし、ずっと事務所にいる人は寒くて堪らない。
じゃあどうするか。
今日はダンボールと紙のボイド(ラップやアルミホイルの芯を十倍デカくしたものとお考えください)でダクトを作ってた。壁掛ルームエアコンから出た冷気を段ボール箱に受けて、それにつなげた紙の筒でもって壁際で事務員の頭上を通し、出入口近くに冷たい空気を吹き出すようにしたわけだ。段ボール箱がエアコンから出た冷気を防いでしまうので、事務員はその直撃を受けずに済むという一挙両得かつ一石二鳥で画期的な改善方法である。ちなみにその紙製ダクトを吊っているのは、壁に養生テープで貼り付けたビニール紐である。機能が良ければ見た目なんかどうでもいいのである。

みんな、工作好きだなぁ。これで実際に快適温度になるんだから、さすがプロだよな‥‥。