読了:深海のYrr(フランク・シェッツィング)

深海のYrr 〈上〉  (ハヤカワ文庫 NV シ 25-1)

深海のYrr 〈上〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-1)

深海のYrr 〈中〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-2)

深海のYrr 〈中〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-2)

深海のYrr 〈下〉  (ハヤカワ文庫 NV シ 25-3)

深海のYrr 〈下〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-3)

ノルウェー海で発見された無数の異様な生物。海洋生物学者ヨハンソンの努力で、その生物が海底で新燃料メタンハイドレートの層を掘り続けていることが判明した。カナダ西岸ではタグボートやホエールウォッチングの船をクジラやオルカの群れが襲い、生物学者アナワクが調査を始める。さらに世界各地で猛毒のクラゲが出現、海難事故が続発し、フランスではロブスターに潜む病原体が猛威を振るう。母なる海に何が起きたのか?

ごく大雑把にいって雰囲気は『ダヴィンチ・コード』のような感触であった。登場人物は魅力的だしよくできた楽しい読み物だ。手に汗握るアクションの見所も満載で、速いペースでどんどん読み進めていくストーリー重視のエンターテイメントである。ずっと読み続けていたいとのめり込むような中毒性タイプではないので、私の好みでは三分冊は若干冗長気味に思えた。そういやダヴィンチ・コードも長かったっけな。
肩の凝らない勧善懲悪でなにか考えさせるような小難しいものではない。小学高学年〜高校生の頃に読んだら嵌りそうだ。出てくるのは大人ばかりだしずいぶん人死にが出るが、そこに拘らなければジュブナイルとしても秀逸。
しかし科学/技術の薀蓄説明をここまで盛り込んでおいて、これだけ優等生的なエンターテイメントになるのはある意味凄い、かもしれない。