三鷹の森

ジブリ美術館に行って来た。館内は撮影禁止なので、外のものだけ。

ミニシアターで十五分くらいの小作品が上映されるのだが、そこに入るチケットは入館するときに別途配られる。そのチケットにはフィルムの切れ端のようなものが埋め込まれていて、一枚一枚絵柄が違うんだそうな。モノによっては高値で取引されているらしいけど、あの場に行くとそれもなんだかな、という気がしてくる。その小作品も意外な展開に宮崎節炸裂で衝撃的に楽しかった。あれは予想外だったわ‥‥好いものを観させていただきました。
館内に入るとアニメーションの成り立ちが模型で説明されている展示はあったりするものの、見るべきは凝りに凝った内装や等身大に再現されたジブリの世界観なのだろう。歯車とぜんまいの機械、丸みを帯びたフォルム、螺旋階段、レトロな木の装飾品、鉄の手摺り、大きなプロペラ。建物自体も三階までの吹き抜けや渡り廊下があり、地上から入れる入り口も一階と地下の両方、屋上は草木が生える空中庭園になっている。その他に別棟があり、これも渡り廊下で母屋と連絡している。内部の間取りも階段室へ素直に入れないとか、通路の先が通り抜け出来ずに上階へ通じる階段になってしまったりと楽しい造りになっている。
屋上に上ると自動的に切なくなれる。

宮崎駿自身が子供のころにこういう場所で遊びたかったというのが再現されているんだろうなと思わせるのが、施設の殆どが子供サイズに作られているところだった。覗き穴やくぐり戸などのことごとくが、大人が使うには無理のある高さや位置になっているのだ。ああこれは、たぶんね、大人はどうでもいいってことだな。むしろ大人は行くのを控えるべきなのかもしれない。だけど内部はもちろん子どもも多かったけど、私も含めて大人でごった返していた印象がある。子どものための場所にまで押しかけちゃいけないのかもしれないな、とちょっと反省した。
子どもの頃に夢に描いた雰囲気、そのノスタルジーは一度で充分堪能できたので、大人の私はこれからは不用意に近づかないことにしよう。だって何故私が建築関係を仕事に選んだのか、それは自分で作れる仕事だったからだ。もう何も出来ない子どもではないのだから、与えられるのを待っていないであとは自分で実現すればいいじゃないか。さあ、プロペラ付のルームライトを買おうかな。大人って楽しいね。
そんなことを思いつつ帰り道に井の頭公園を歩いていたら、見上げれば紅葉。世界はこんなに美しい。

しかしなんだかんだいっても、一度は行ってみたかったのだ。実際に体験することが出来て私は満足だ。今回は行けて良かったとやっぱり思う。普通なら物凄く予約がとりにくいらしいんだが、尽力してくれた某嬢、ありがとう!