KOMPAKT NIGHT feat.MICHAEL MAYER@渋谷WOMB

生まれて初めてクラブというものに行ったのだった。
ジュリアナやキン&クイなんかのディスコが流行ったのは高校生の頃。その後、クラブが流行りだしたのは社会人になってしばらくしてからだった。ついでに私が高校生の頃は女子大生が流行りで、高校を卒業した途端に女子高生に流行が移ったのも、肩透かしを喰らわされたようでちょっと寂しかったっけ。ベビーブーム真っ盛りで絶対数が多いので、一個人の価値が物凄く低い世代でもある。ちょうどそういう遊びを覚える年代の頃はバブルが弾けた就職氷河期。CD一枚、本一冊買えないようなド貧乏で仕事をかけもちして朝から晩まで忙しくしていた。『失われた世代』は夜遊びの機会にも見放されていたんである。それでも好きな人は食事の回数を減らしてでも行ってたんだとは思うが、自分自身がそこまでして聴くほど音楽が好きでもなかったってことなんだろう。なんとなく一緒に行く人もいないまま行きそびれていた。だが最近になってやっと人並みに遊べる余裕ができたので、一度行ってみたかったクラブへ連れて行ってもらったんである。
看板もネオンもない、あるビルの裏側にある防火扉のようなところから入ると、カウンターがあり入場料を支払うと無愛想なロッカーが並んだコンクリートむき出しの通路。ドンッドンッと低音が響いてくる。荷物を置いて螺旋階段を降りると、もうそこはミラーボールの下がったフロアである。他を知らないので比較はできないが、天井の高い倉庫のような空間である。壁際にちょっとしたバーカウンターがあるくらいで、愛想も何もない四角い箱だ。
そこを埋め尽くした聴衆がまさしく洗われる芋の子のように飛んだり撥ねたりしているわけである。身体に直接響いてくる低音やレーザー光線や時折焚かれるスモークも物珍しくて、非日常の恍惚感に浸って一緒になってワイワイやるのは妙に楽しい。ただ、痴漢っぽいのも多かったなー。ああいう場では理性のタガが外れるヤツも出てくるだろうし、ある程度は織り込み済みではある。だが正直、こっちはトウが立ちまくってるのは見りゃ判るんだし相手が避けるだろ、とタカをくくっていた部分もあったんだが、タガが外れちゃってるからそんなん関係ないのな。しかもあれだけ薄暗かったら後姿じゃよく判らんだろうし。そんなこんなで最初はちょっと驚いたが、まあこちらもそうカマトトぶっててもしょうがないので、適当に逃げつつあまり気にせずユラユラ揺れていたのであった。
夜半過ぎから入って朝までのオールナイトである。踊りっぱなしで徹夜はキツイお年頃だが、二階にあるバーでまったり座って休憩を挟みつつ、音楽の勢いを借りて興奮していたらあっという間だった。野外やダダ広いホールと違って音を楽しめたし、大きなイベントは変な気合入るのか疲労感があるだが、クラブは割と楽に過ごせる。面白かったのでまた行きたいなー。まあ、帰ってから一日は寝ても覚めてもぼんやりして使い物にならなくなったけどな。連れて行ってくれた相方さん、ありがとう。

SPEICHER CD 3

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