奇想の王国 だまし絵展 - Bunkamura


もう展示期間も終わってしまったが、過日だまし絵展にも行ってきた。
だまし絵というのがなんなのかよく判っていなかった。不思議な絵を描くのはエッシャーなんかが有名だけど、トリックアートというと地面に絵を描いて魚眼レンズで覗くとそこに深い段差があるかのように見えるアレとか、そういえば那須高原かどこかに目の錯覚を利用した面白系の美術館があったような気がする。
そんなことを考えつつ観に行ってみたら、だまし絵というのは私の想像したものも含まれるが、基本的には実物と見まがうような精密画で、壁の状差しなど実際にありそうなものを題材にして実物大に描き、見る者を騙すいたずらっぽい絵のことだったようだ。ヨーロッパでは中世の昔からある手の込んだ洒落なのらしい。そうしてみるとむしろ連想したのは伝統的なだまし絵の進化形ともいえるのかもしれない。
真ん中に円筒を置いてそこに映りこんだものを見るとちゃんと絵に見えるものなどもあり、もちろん元の絵はかなり歪んでいるのでそのまま見ただけでは何が描かれているのか判らない。絵画の暗号のようである。他に凹凸とコラージュを組み合わせて立体感を表現したものなど、理屈が判っても目が騙され続けてしまったりして、とても楽しかった。
最後に売店で見た3D名画も面白かったなぁ。それこそエッシャーなんか眺めるとおかしな気分になってくるのだが、私はモネが一番よかった。見慣れた名画なのだけど、3Dにしてみると思いのほか光溢れた光景が深みを持って立ち現れ、楽園のように美しい。あれ、やっぱりひとつ買って来ればよかった‥‥。