つい出来心で姿勢矯正ベルト

そんなこんなで仕事も山場を越えたので、いい気になってホルモン各種で祝杯を挙げた次の日に目が覚めてみたらヘルペスが出ていた。疲れた身体に肉は消化が悪すぎたか‥‥。そのまま2日間ばかりぐーたらと寝てすごし、夕方になって少し元気が出てきたので起き出して整体に行ったのだった。
この整体というのがなんというか、癖のある診療所が割りと多いと思うのである。ともするとスピリチュアルな方向へいってしまいがちな、微妙な分野であるのは判るんだが、待合室に『身よりも財を惜しむ人は治療お断り』みたいな事柄が額に入れて掲げてあったりすると、一気にげんなりする。そして理念高邁なのは結構だが、その理念は一体なんのためなのか、日本の法律では整体師さんは『医者』ではないのかもしれんが、それにしても患者が痛いと訴えている部分が治療費を払っても治ってなかったりするのでは本末転倒なんじゃなかろうかと愚考する次第である。そりゃ単純な話じゃないんだろうけどさ、こっちも保険がきかないのを承知の上でプロに縋っているわけだからさ。
というわけで、まだ背中が痛い。しかし1時間あまりも揉んでもらって多少は身体が軽くなったらしく、もう死にたいから治そうという方向へ気分も前向きになってきたし、そのために動けるようにはなったので、有難いことである。不肖このわたくし、マッサージに行く度に『これは苦しいでしょうねぇ‥‥ふっ‥‥』と苦笑されるのだが、我慢できないほど苦しいから来てるんでしょうが。趣味や娯楽でわざわざ疲れた身体を引きずって、せっかく稼いだ残業代を費やしているわけではないのだよ。昔から肩凝りが激しいタチで、一週間も頭痛が続いたので怖くなって総合病院の休日診療へかかったら、あっさり『肩凝りです』と診断され筋弛緩剤を投与されたこともある。この肩凝りのツラさというのは人によっては全く理解できないらしく、冗談半分で力任せに揉みたがる御仁もたまにおられる。おそらく『なにを肩凝りぐらいで痛い痛いとほざきやがる』ぐらいの軽い苛立ちを持っているような雰囲気すら感じ取れるが、本気で苦しいときは軽くこむら返りした状態がずっと続いているようなものなんである。そりゃ痛みのために呼吸も浅くなるってもんだ。こんなもの、私だってなりたくてなるわけじゃない。原因の大概は過労である。そんな過労になるほうがおかしいといわれても、こんにち日本における社会情勢やら個人の生い立ちやら心構えなどを喧々諤々討論しても肩凝りは治らない。文句があるなら験しになってみやがれってんだ。
ともかく残業代の幾許かを投入して得た情報は、私は姿勢が悪く骨格も筋肉もダメダメだということであった。ここまでくると自力で治すのはちょっと難しく、ひと月ほどは週に一度くらい通ってプロの手によって矯正し、同時にしかるべく生活を改善して安寧を保たれるがよかろうとのことである。どこでも言われることはほぼ同じだな。

とにかく姿勢を改善すれば少しはマシなのか、というわけで、ダメもとで姿勢矯正ベルトを買ってみた。背筋が伸びるのは美容的にもいいことだしね、とそこはかとなく無駄遣いしたかもしれない罪悪感を紛らわせてみたり。効果があるかないか判らないが、無駄になっても3千円くらいのものだし、どっちにしてもブログのネタにすることにしよう。