映画:ヒックとドラゴン(監督:ディーン・デュボア/クリス・サンダース)

このところCGや3Dをウリにした軽薄な映画が目白押しである。気楽な映画もいいものだが、似たようなものが何本も続くとちょっと食傷したりもする。それで今回はスルーするか迷ったのだが、twitterでずいぶん評判がいいのでやっぱり観ることにしたのだった。バイキングでドラゴンだしね、少し興味をそそられたのもある。バイキングのオヤジどもが揃いも揃ってこれでもかというようなイカツい丸太体型に粗野で不器用な感じも良かったし、そしてやっぱり空を飛ぶシーンは素晴らしく、すっかり堪能してきたのであった。
しかしそれにしても子ども達の集団がとても判りやすいアメリカ〜ンなスクールカーストでタイプ分けされているのには笑ってしまった。口をついて出る言葉は「オーディンの神よ‥‥!」だけれども、そのくせバイキングらしい考え方や価値観のあり方はちっともなくて異文化な感じはさっぱりしない。
ドラゴンの巣を探しに行った先は、霧の国ニブルヘイムなのだろうな。それならばもっと北欧神話らしい複眼の妖精とか出しても良かったんじゃなかろうか。
原作があるらしいのであとからネットであらすじを拾い読みしてみたのだが、これがストーリーが根本的なところからまったく違う。まるっきり別物ならばそれはそれでいいのだが、なんだかもったいないなぁとも思ったのだった。原作のままでも面白そうだし、映画は映画でアメリカらしい成長物語として大変よく出来ているので、このクオリティで原作に近い感じで作ってくれたらもっと楽しめたんじゃないかと。あ、でももしかしたら映画は原作に対するエピソード・ゼロなのかもしれない。そう考えると辻褄は合う。
しかしなんだかんだ思う部分はあるにしても、映画を観終わってみるとドラゴンのトゥースは可愛いしカタルシスは満たされるしスリリングに飛んでいるのは楽しいし、素直にああ面白かった! という映画であった。やっぱり動物を転がすのは強いよな。

ヒックとドラゴン〈1〉伝説の怪物 (How to Train Your Dragon (Japanese))

ヒックとドラゴン〈1〉伝説の怪物 (How to Train Your Dragon (Japanese))


そうそう、桜木町のブルグ13で3D版を観たのだが、以前この劇場に行ったときは爆音すぎて居た堪れなかったのが、今回は改善されていたのかむしろ迫力があって『音響が良い』と思える音量であった。やっぱり前のアレは出来たばかりの劇場で調整がうまいこといってなかったんかな。