お伊勢参りと名古屋

気力体力精神力に限界を感じて週末から9連休を申請したのが木曜日。地震の影響で帰省することもできないし、休みが取れたら見学に行きたいと思っていた外郭放水路も見学会を中止している。なにより私自身がぐったりしてしまって何もする気が起きないので、特に予定を入れる気もなかったんだが、珍しく熊が「旅行に行こう」と言い出したんである。よっぽどひどい顔をしていたのかもしれん。私が口を半開きにぼけっとしている間に、これまた珍しくさくさくと切符を予約し宿をおさえてくれて、土曜日に出発することになったのだった。

1日目

出発点の新横浜ですったもんだあったものの、無事に新幹線へ飛び乗り一路名古屋へ。東海道新幹線には喫煙ルームがあるのが面白かったな。名古屋で近鉄に乗り換え、伊勢へひた走る。

お昼頃に伊勢市駅に到着し、まずは伊勢うどんを食べてから外宮へ。


伊勢は内宮と外宮が離れた場所にあり、外宮に参ってから内宮へまわるのが正式らしい。

お伊勢さんの愛称で親しまれる伊勢神宮の正式名称は『神宮』なんだそうな。全国の神社の総元締めであり神宮といえば伊勢のことなのか。なんだか凄い。


で、この神宮は20年に一度建替えられる式年遷宮という行事が脈々と受け継がれているため、建物自体は古くはない。古くはないのだが、様式は古事記日本書紀のあたりまで遡る古式ゆかしい破風が茅葺屋根を貫いて千木となる高床式である。

外宮の正宮におまつりされているのは豊受大御神である。ここのお若い神主さんが稲垣吾郎バリの美形でひとりで騒然となるバチアタリな私。残念ながら正宮内は撮影禁止であった。

亀石とお馬さん。

そこここに生えている木も御神木級がぞろぞろ揃っていて、そこらの神社との格の違いを見せつける。



夕方ホテルにチェックインし一休みしてから、『地ビール工房&レストラン 伊勢角屋麦酒蔵』へ赴くと、まさかの満席。予約しなかったのは甘かった。幸いホテルが近かったので、席が空いたら連絡してもらうことにして待機し、1時間後くらいにようやく入れたのだった。しかし待った甲斐がありお料理もビールも美味しくて、たらふく飲み食いしてホテルへ戻り、1日目は就寝。

2日目

明けてこの日は内宮へ。ここも混むというので、午前中に回ることにする。

宇治橋を渡り、五十鈴川で手水をつかう。

内宮正宮のご祭神は天照坐皇大御神である。

お伊勢さんでは「おかげ参り」というように、私利私欲のお願いをするのではなくいままでの息災を感謝してお参りするのが本義らしい。確かに私自身は今回の地震でも怪我もなく、こうしてのほほんと旅行していられるくらい被害という被害は受けなかったわけで、そこは感謝してもいいのかもしれない。しかしまだ故郷のことを考えずにはいられないし、自分だけ神様にありがとうと言える心持にはなれないなぁ、とぼんやりと願いの最小単位について思ったりしたのだった。

伊勢は春の花が咲いていたよ。

内宮のお馬さんは留守だった。

しばし池の鯉などを眺める。

内宮を辞したら、そこはおはらい通り。

朝食抜きだったので、ここで買い食いしたりコーヒーを飲んだりそぞろ歩く。

おはらい通りの中ほどにあるおかげ横丁で、思い切り観光客向けのてこね寿司をいただいた。こういうのも楽しい。

煙管で一服してみたり。
自分用のお土産で特産の真珠のピアスと、ウチのは地震でダメになったので、七味とうがらしを購入。

これにて伊勢を出て、今度は名古屋へ。
夕方cさんにホテルまで迎えにきてもらい、予約してもらったお店へ。

名古屋コーチンも美味しかったし、あれこれ話して大変楽しゅうございました。cさん、ありがとうございました! こんどは東京でお会いしましょう。
さんざん喰って飲んでホテルで撃沈し、2日目終了。

3日目

最終日は名古屋観光である。生憎の冷たい雨が降りしきる中、楽しみにしていた名古屋市科学館プラネタリウムへ。ここは混むと忠告を受けていたので、開館前の朝っぱらから並ぶために向かった・・・・が。
遠くからでもよく見える威容。近づいてみると、待てよ、あの人だかりは・・・・?

ひと目で、これはムリだ、と判る人数の行列である。ここでも甘かった。前日から並ぶ勢いだったのだ。

しょんぼりと目を落としたら、マンホールがアメンボだった。
仕方ないので、他を回ることに急遽変更し、地下鉄に乗って名古屋城へ。

思わず写真を撮ってしまう県庁・市役所の威容と、空掘り。

空襲で焼けた城前のお屋敷を修復している工事現場を見学するのに、ヘルメットを渡された途端に仕事スイッチが入るブルーカラーのふたりであった。

名古屋城。中に入って見学したのだが、正直、このへんから疲れてきて記憶が曖昧になっている。


最後に名古屋駅近くの地下街で食べた、ほうぼうからお勧めされた山本屋の味噌煮込みうどん。びっくりするほど熱くて美味かった。お新香との相性の良さも計算されつくしているな。いいお値段だけど、これは癖になるわ。


そんなこんなで疲れ果てた上に熱いうどんでお腹いっぱいになり、帰りの新幹線の中では爆睡したのであった。
伊勢でも名古屋でも余震はほとんど感じなかった。関東で毎日毎日ゆらゆら揺られていたのに意外と神経が参っていたのか、3日間だけ地震から開放されて、けっこう本当に気持ちがほっとしたのだった。