放射能あれこれ

超がつくほどの文系脳で仕事は理系の私だが、あれやこれやでだいぶ放射能について詳しくなってきた。ところでざっくり「放射能」といってしまうひとはだいたい詳しくないひとで、正しくは放射能とは「物質が放射線を出す能力」であり、出てくるものは「放射線」、放射線を出す物質は「放射性物質」であるそうな。こんな素人が個人的にこんな感じかなぁと考えたまとめなので、頭から信用したりもしくは詰問したりせず、疑問があったらもっと詳しい人に訊くなり、google先生にお伺いを立てるなりしていただきたい。間違い探しは歓迎。といっても、ここを読む人にとってはいまさらな内容だろうが。
私がざっくり理解したところによると、放射性物質はごく大雑把にいってだいたい重金属である。目に見えないほど小さな塵となって飛んでも、物質としては重たいものなのでそう遠くへは行かない。だから避難区域を設定することが出来るのだな。これが黄砂だったら、余裕で海を越え数百キロも飛んでいくところだ。ただ塵なので、風向きにけっこう影響される。半径何キロの同心円では対応しきれないところがあって、20km以上離れた地点でも場所によって高めの線量が計測されたりする(参考図)。
重金属は身体の表面から吸収されることはないので、埃としてついた放射性物質は洗えば落ちる。食べたとしても消化器官ではおおかたがスルーされて、排泄される。ただし空気中を漂っている塵を吸い込むと、肺からは構造的にあんまり出ていかないので、そこにとどまり内部被爆をおこす。食べたものが身体の内部に残る割合も低いけどないわけではないので同様。
放射線被爆は累積で考える。どれくらいの量にどれくらいの時間接していたか。それでいったい年間何mSvなら大丈夫なのかというと、それはどうしてもあくまで確率的なものであり、科学的には不毛な議論となってしまう。もともと日本人の3人に1人は癌で死んでるしな。自然被爆参考:リンク先pdf)というものもあり、被爆量を0にすることはできない。私もあなたも誰の身体の中にも放射性物質は存在するし、普通に生きてれば絶えず降り注ぐ宇宙線に曝されている。
でも原発騒ぎが起きる前から野菜はオーガニックじゃなければ食べたくないし、水道水は一切飲まないってひともいるわけで、そのレベルでできるだけリスクを排除したいというのであれば、それは個人の判断でということになってしまうのだな。
ナニゴトも程度問題なんである。
そういって投げてしまうのは簡単なんだが、んじゃ自分はどうするのと問われれば、やっぱり判断基準が欲しいよな。とやきもきしていたら、さすがここはいいインターネッツ、案の定仕事の早い職人が作ってくれた図が流れてきたので、これを見て足し算してなんとなく把握した気になっている。(作ってくれた人、ありがとう!)ちなみにバナナを1本食べるというのは、バナナはもともとカリウム40という放射性カリウムを含んでいるから。ほかにじゃがいもやナッツなどが自然放射能をやや多く持っているらしい。
もうちょっと詳しく知りたい人は、緊急被爆医療『緊急被ばく医療「地域フォーラム」テキスト』などを一読されるもよろしいかと。
あと、「国や東電の発表する数字なんか嘘ばっかり! 信用できない!」という向きもあるようだが、国立がん研究センター中央病院でも独自に敷地内の線量を測って公開しているし、ご本人の目的や真意はともかく現地に行って測ってきた人*1もいるし、「放射線測定サイト」で検索すると第三者機関がいくつか出てくるし、ソースが紛れてしまったが外国の機関が測ったデータもどこかで見かけた気がするので、探して見比べてみるといいんじゃないかな。「ネットの情報も全部嘘だ」といわれたらそれまでだけどね。私はあちこち見すぎて頭がパンパンになったので、そこそこで止めたが。ナニゴトも程度問題げふんげふん。
なにがなんでも安全だと言い張るつもりはさらさらない。やはりダメなものはダメだし、心配もしている。現状ではまだGOサインは出ていないと判断しているが、今後の動向も非常に興味を持って注視していくつもりだ。
今回に限らず国の基準というのは最低ラインを示すもので、そこから先は個人の価値観によってどうするか決めるしかないんだろう。私などはもう人生の折り返し地点を過ぎた中年なので多少は構わないが、特に放射線の感受性が高い小さなお子さんや妊婦さんは、心のケアもあるし安心のために大事をとってもいいんじゃないかしらん。心配しなくて済むっていうのは、生きてく上では大事なことだよね。

追記

あの例の暫定基準値っていうのは、正直いただけねぇな。数値的に云々よりも、苦肉の策だとしても、こういうことは原理原則を曲げちゃいかんのだ。でなければ、設定されている意義を揺るがしかねない。

*1:サイトの文中に戻っていいとの主張があるが、私は個人的にNGだと思っている。