「異形たちによると世界は…」coco

cさんが上京してらしたので日曜は朝から淡路町へ。この度はwebで連作していた『異形の群れ』がタイトルを『異形たちによると世界は…』と改め、めでたく出版の運びとなったのだった。発売日は7月22日。

異形たちによると世界は…

異形たちによると世界は…

ご出版、おめでとうございます!
SFファンタジーを読んでいたら避けては通れないクトゥルー神話の邪神たちをモチーフに4コママンガを中心とした本である。私自身はオリジナルは1冊も読んでいないヘタレなのだが、やはりクトゥルーダゴンの名は読んでいる本に出てきたことがあるし、その禍々しさは頭の中でなんとなくクラーケンなどの北欧の神話と結びついてしまっている。クトゥルーとはラヴクラフトが書いた猟奇小説に出てくる怪物である。そしてそれに共感した作家たちが次々とそれを題材にした小説を書いていったことで、好事家の間に広まり定着したものだという。ラヴクラフト亡き後も後継者が現れ、連綿と自著に邪神たちの姿を書き継いできた。そんなこんなで神話といいつつもともとはあくまで個人が創作したものなのだが、何故か一部の分野では基礎教養と化し古典となってしまっている感のある体系なのである。
ちょっと見た目がアレなエグいモチーフなので、いままではどちらかといえばマニアックな扱いだったのだが、この本ではコロコロした可愛らしい邪神たちが転がりまわる、とぼけた異界の日常4コマとなっている。しかも可愛いだけでなくそれぞれのエピソードや小道具・設定もしっかり網羅しているので、クトゥルー神話の入門書にも最適な1冊だ。それにしてもしかし、このジャンルは他にもラノベの超人気作『這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)』だとか、表紙と解説の乖離っぷりが素晴らしいと評判の『萌え萌えクトゥルー神話事典』だとか、yさまの造形が表紙を飾った『リトル・リトル・クトゥルー―史上最小の神話小説集』だとか、ライトな方面にもじわじわと侵食してきている。邪神教の版図を広げんとする滲み込むような布教、畏るべしである。いあ! いあ!
さておき、webで連作をかかれていた頃から私はこのシリーズが好きで、邪神は本にならないのかとクダをまいていたので、今回の出版は個人的にも嬉しいのであった。4コマだけでなくショートショートの短文に絵のついた部分も再現されているのがまた好しである。あと、今回もちょこっと出てきてたけど、早苗ちゃんのシリーズも好きなので、cさんにおかれましては今後も是非頑張っていただきたいと海のほうに向かって祈りを捧げる次第である。


フライングゲットで私もありがたく1冊いただいて、しっかりサインもしてもらったのだった。

cocoさん、ありがとう!
こうしてサインを描いてもらいながらモーニングコーヒーをご相伴しつつ、ぼちぼち集まった面々とともに江戸情緒溢れる名店でお蕎麦を食べ、虫撮りに小石川植物園へ行って炎天下に茹で上がる。cさんは朝からぐったり疲れた顔をしていたのに、植物園でカメラを手にした途端に目に光が戻ってくるのがさすがというかなんというか。しかし植物園は暑かったけど風があって草いきれが気持ちよかったな。ちょっとその辺を回っただけでひとりで5〜6か所も蚊にくわれたけどな。
汗だくになったあとの英国ビアがこの世のものとは思えないほど美味かった。
お集まりいただいた皆さま、暑い中お疲れ様でした。