物と金

先週の思い付きを実現すべく押入れを整理してみたら、模様替えまでいかなくとも捨てる物を捨てればなんとかなりそうだったので、古いウェアやらまだ若く細かった頃に買ったスーツやら諸々を思い出と共にゴミ袋に突っ込むことにしたのだった。
ワープア貧乏時代は流行など関係なく、『寒さをしのげればいい』『まだ使える物を捨てるなどもっての外』というコンセプトだったので、多少気に入らなかろうが似合わなかろうが関係なくマジで実際に着ていたのだ。いつでも狙ってないグランジファッション、物はぜんぶ自前でヴィンテージ。オシャレ感などと浮ついた感覚とは次元が違うし、服屋に着ていく服がないなんていう自意識の問題ですらない。清貧なんて目先の表現を変えるおためごかしを弄するのもバカバカしい、単なる貧乏である。
しかし人並みにお給料が貰えるようになった昨今は、これまた人並みに経済性よりも身嗜みを優先できるようになった。有難い事である。ひとさまに不快感を与えない清潔感って大事よね。ちゃんと化粧もしようね。


先日、しみじみと「安くともちゃんと毎月給料が出るって、こんなに楽なんだね。給料が遅れるとなんであんなに生活が苦しかったのかなぁ」と言ったら、そりゃ当たり前だよ、と友人たちに呆れられたのだった。貧すれば鈍すの典型、奴隷根性ここに極まれりとでもいうのか、気にしたって湧いて出るわけじゃなしどうせ苦しいものを見つめ直したくもなかったせいか、そのへんをちゃんと考えたことがなかった。でも言われてみれば単純な話なんだよな。
月に一度きちんともらえるなら、給料は1ヶ月に一度。それが5日遅れれば1ヶ月と5日に一度。計算を簡略化するためにひと月を30日・給料20万円で考えると、こういうことになる。

一度配給が遅れても次の月には盛り返してちゃんと従来の給料日に貰えればいいけども、そんなわけはなかったわけで、毎月25日だった給料日が末日になり、翌月5日になり10日へとズルズルずれこむ。そうすると、半年でこういうことになるのだな。

家賃や食費・光熱費などの支出のペースは変わらないわけだから、そりゃ足らなくなるわ。
待てよ、ということは必要なものもさっさと購入せず、ペースを落として順繰りに日延べしていけば、ちょっとずつ浮くってことだな。なるほど、あの頃は1日1銭も使わずに何日イケるかとゲーム感覚でやっていたものだが、それも理に適っていたということか。
なんてことをいつまでも言っているから、1年ごしで自宅用のプリンターを買いそびれるのだ。