読了:五分後の世界(村上 龍)

五分後の世界 (幻冬舎文庫)

五分後の世界 (幻冬舎文庫)

いまいる世界より5分だけ時間が早い世界。やさぐれた中年男が迷い込んだのは、第二次世界大戦末期の広島・長崎の原爆投下後も降伏せず、世界と戦い続けた日本であった。
闘い続けていればはたして矜持が保たれるのかとか、優生学ぽい危うさが気になるとか、暗喩や難癖をこじつければいろいろ言えるだろうし、なにかと語りたくなるような読後感ではある。が、これはエンターテイメントとして単純に楽しむのが正しいような気がする。歪な部分は確かにあるけど、実際の世界も歪なもんだ。予定調和を押し切る圧倒的な勢いに身を任せ、血湧き肉踊る怒涛の展開を堪能するといい。
面白かった。