映画:トータル・リコール(監督:レン・ワイズマン)


前作のシュワちゃん版も観てないし原作も読んでない。なのに予告編のパッと観で「あー、これ知ってるー」と思ったのだが、それはスペース・コブラだ。寺沢武一のほうがオマージュだったのだろうな。見聞によると今回はどうやら原作や前作と比べると地味でスケールが小さいようだが、どちらも知らないのでそれなりに楽しく観たのだった。
地球全体が汚染されてイギリスとオーストラリアの一部にしか人が住めない状態になっており、上流階級が占めるイギリスを労働者階級が住むオーストラリアが支えるという構図である。これは原作も前作も地球と火星だったのに、今作はかなりスケールダウンして地球上の話にまとめている。現実では80年代から開発が続いていたアメリカのスペースシャトル計画はとうとう終了してしまったし、エネルギー問題や経済成長の頭打ちなど、なんとなくイケイケドンドンの宇宙拡大志向も下火になりつつある。そのせいか人類が火星に暮らす未来という想像自体がもうそぐわなくなってきて、どちらかといえば地球上の居住可能な土地や人口が何分の1かに減ってしまう縮小方向のほうがより「ありそう」でピッタリくるのかもしれない。
地球を貫通する『フォール』はいかにもSFで面白かったな。コアはどうするんだろと思ったら、微妙に弧を描いて避けてるし。可能か不可能かでいったらかなり厳しいことになるだろうけど、アイディア勝負の勢いがあって楽しい。しかもイギリス(ヨーロッパ)とオーストラリアという取り合わせで大航海時代を髣髴とさせるのがニクイ。こういうのはイメージの取り合わせだよね。
あと細かいけどちょっと面白かったのが、主人公のクエイドが記憶を失っている間にロボット工場の組立工をしていた経験を生かし、ガワの堅い最終兵器のような戦闘ロボットの胸板を正確にボルトをバラして外し、基盤(?)を引き千切って始末していたところ。いつも雨が降っているオーストラリア側は風情があってよかったな。せっかく作りこんである風景をもっとゆっくり見たかった気もする。最初から最後までコテコテのアクションシーンばかりだと飽きてくるし、もうちっと緩急つけてくれると嬉しいのだが、アクション映画だからしょうがないのかね。鬼嫁がくどくてほとんどホラーだわよ。