今年のクリスマスはパテ・ド・カンパーニュ

毎年何を作るか頭を悩ませるクリスマスだが、今年はレバー入りの田舎風パテ、パテ・ド・カンパーニュである。いわゆるレバパテなのだが、つばめグリルで食べて以来とりこになったのにあんまり置いている店がないので、いっそ自分で作ってしまえといつもの癖が出たのだった。
参考文献は『レシピブログ 艸SOUの作り方 - パテ・ド・カンパーニュ』より。お世話になります。詳しい分量・作り方などはこちら様をご覧いただきたい。
せっかくなのでベーコンから仕込みますかね、というわけでまずは1週間前に豚バラとついでに牛ヒレの塊を漬けるところから始めた。

肉はそのへんのスーパーで安く売ってるものである。ピックル液だかソミュール液やら下拵えについては前にも『2009年08月13日 - 夏は燻製だ!』で書いているのでそちらをご参照くだされ。
燻製はいままでは中華鍋+金属のボウルで熱燻ばかりやっていたのだけど、今回はベーコンなのでダンボールでスモーカーを作って温燻に挑戦である。でっきるかな♪

燻製篇

肉の下拵えを終えたら今度はスモーカーの出番である。

100円ショップで材料を買ってみた。

が、使ったのは金串とアルミトレイだけだった。あとスモークウッドも。箱の下のほうに突き出しているのは割り箸を貫通させたもの。これを台にして脂受けのトレイを載せてある。

肉もろとも箱に金串を突き刺して吊るせるか確認。奥に見えているのは脂受け用のアルミトレイである。スモークウッドに脂がかかるとよろしくないので、途中で受け止める目論見である。

こ汚いガス台で恐縮だが、ガスでスモークウッドに火を点け、鉄の台を据えた上にアルミトレイを置いて安置。そうすると大きな線香のように煙を出しながら燃えてくれる。これの上から肉を吊るしたダンボール箱をカポッと被せることになる。
火と紙なので当然ながら火元は厳重注意、水の入った盥を用意して傍から離れるべからずである。スモーカーの写真は火をいれる前なのでフローリングの上で撮ったが、実際に火を入れるときは木床では危険なので周囲が不燃材である場所に置き、換気も必要である。安定感は火を点ける前にしっかり確認。あとこのやり方だと煙と臭いもけっこう出るので要注意だ。屋外のほうが無難だと思うが、その場合は風で倒壊にも注意だ。一度やってみたら改善の余地だらけで、私は同じ方式ではもうやらない。
その後、箱内の温度が思うように上がらなかったり、スモークウッドが2時間で燃え尽きたり、煙を浴びすぎて具合が悪くなったりいろいろ忙しかったのだが、ちょうど風邪をひいていてぐらぐらしながら頑張ったのでこの間の写真はなし。

そうした苦労の末になんとか出来たベーコンと燻製ビーフはあめ色に輝いて見えたのだった。荒熱をとったらアルミホイルに包んで冷蔵庫でひと晩寝かせる。

パテ篇

さて、ここからが本番である。

主な材料はこちら。ひと晩寝かせたベーコンと鶏肉・豚肉・鶏レバー(ハツ付)。比率はレシピよりもレバー多めになっている。

ベーコンのスライスを型に敷き詰め‥‥って、ベーコンが薄切りにならんがな。あのぅ、素人が万能包丁でベーコンブロックをスライスするのはそもそも無理があるね。などと今更スカしたことも言っていられないので、ギコギコと悪戦苦闘しつつなんとか型に分厚いベーコンをへばりつかせた。

買ったばかりのブラウンのブレンダーで肉をミンチにして、玉ねぎ・卵・塩胡椒・酒等々と混ぜ合わせる。ブラウンのブレンダーはなかなか使い勝手がいいね。

混ざったものをベーコンを敷いた型に詰める。ミンチは細かくしすぎると食感がなくなるので、ちょっと粗いくらいのほうがいいらしい。

上もベーコンで覆って、ベイリーフや香草をのせる。タイムがなかったのでローズマリーを使ってみた。欲張りすぎて山盛りになっている。

アルミホイルを被せて、180℃のオーブンでじっくり湯煎にする。途中で温度計を挿しながら様子を見たのだが、中心温度が80度を超すまでうちのへっぽこオーブンレンジでは2時間以上かかったよ。

オーブンから出したら、今度は氷を当てて冷やす。あっためたり冷やしたり忙しいことである。上部を平らにするためにダンボールの上に重しでグラタン皿をのっけている。最初から山盛りだったので気持ち程度だけど。冷えたらそのまま冷蔵庫でひと晩寝かせる。

次の日に出来上がり。うむ、手作りベーコンだと色がイマイチではある。

が、型から出せばゼラチン質が溶け出してこれこの通りの艶やかさである。

切ってみる。けっこういいんじゃない。

賞味篇


そんなわけでクリスマスディナーの出来上がりである。
これは美味い。低温でじっくり加熱しているのでレバーはしっとりしているし、ベーコンのスモークと塩加減がいい具合に効いている。鶏レバーもハツが付いているのを使ったので、ところどころコリコリしてアクセントになっているのもよかったな。今回はベーコンまで作ったので大掛かりになってしまったが、あんまり難しく考えずレバー入りのミートローフが低温調理でちょっと時間かかるくらいに思っておけば家庭料理で充分対応可能なんではなかろうか。気に入ったので今度はもうちょっと簡単に作ってみよう。具体的にはベーコンはスライスを買ってこよう。

熊がサンクトガーレン限定醸造ディアブロアンヘルを買ってくれたので、これで乾杯したのだった。それぞれバーレイワインとウィートワインでアルコールが10度前後ある熟成ビールである。

デザートにはいつものベルギービール屋で買っておいたシュトーレン。降誕祭でも天皇誕生日でもなんでも祝ってやる。ご馳走を飲み食いする口実さまさまである。ひゃっふぅ。


日曜の晩に肉を漬け、木曜に塩抜きと風乾し、金曜に燻製。土曜にパテを仕込んで食べたのは日曜。ちょうど1週間の工程である。自分で好き好んで始めたことだが、ちょうど風邪ひいたのもあって正直大変だった。あんまり無理はするもんじゃない。味がかなり良く出来たのは救いだったな。
1本の型でベーコンも含めて各種の肉がみっちり詰まったものが1kg近く出来たことになるが、味も濃いし1度に2切れも食べれば充分満足だ。あとは燻製ビーフともども切って冷凍しておいて、少しずつ食べる楽しみをとっておくことにする。正月も食べるぞー。