ラ シャッス (La Chasse)@六本木

そういえば忙しくて紛れていたが、毎年恒例誕生日の大盤振る舞いに与ったのだった。今回はジビエ料理の『ラ シャッス』。六本木のちょっと入ったところにあるフランス料理店である。

なんでもシェフ本人が猟をしているとかで、自分でうった鳥や動物を調理して出してくれるという。お店の中に入ると蝋燭のほのかな灯りに洞穴に漆喰を塗ったような内装が照らされている。
実はこのときかつてないほど胃の調子が悪くて当日の昼も少し食べたら具合が悪くなって脂汗を流して横になったりしていたのだが、原因がストレスなら余計に極上の美味いもん喰って発散する機会を逃してなるものかと、這ってでも行く心積もりだったんである。結果からいうと正解だった。
ここで飲んだグラスワインがもう、後味がドライフルーツのようでとても美味しくて、それだけで胃の痛みなどどうでもよくなる。料理は冷たい前菜、暖かい前菜、メイン、デザートからそれぞれ選ぶようになっていて、ミンク鯨のタルタル、キジバトのスモーク、熊のローストをチョイスしたのだが、どれもこれも野趣溢れる滋味と滋養に満ちていてすっかり元気になったのだった。美味しいは正義。
帰り際に壁を見ると猪やら鹿やらの首級が掲げられていた。

冬には暖炉に火が入るらしい。なんだか六本木とは思えないような異空間であった。