煮込み充

仕事して人間的な成長なんてどうでもいいやな。経験を何もかも役立てようとか転んでもただで起きないようなギラギラした元気はない。成長したからなんなんだ、ケッ、というようなことをブツブツ言っていたら、熊に新しい楽しみを見つけろ、と言われた。
確かにこのごろこれさえ満たされれば幸せというスイッチがあんまり機能しなくなってきたのだ。以前ならちょっと凹んでも面白い本とふかふかの布団があれば帰るのが楽しみで幸せになれたものが、いまはそれらを準備しても多幸感に浸れるほどは満たされない。強いて楽しみといえば肉の塊とジャガイモが食べたくなるので各国の煮込み料理に凝っているくらいか。残業帰りの夜中に暗い台所で背中を丸め、大鍋で怪しげな匂いのする液体を煮詰めているのである。
【エッグレモンスープ】

  • フランスあたりで風邪のときに食べるスープらしい。鶏肉・ジャガイモ・セロリ鶏ブイヨンで煮てレモンとご飯を足して卵を落すという滋養強壮に優れた食べ物である。レモンが効いてて美味しい。


【ウハー】

  • 魚を食べようと次に作ったのはロシアのアウトドア鍋。鱈などの白身魚とジャガイモを鶏ブイヨンで煮て、ディルとレモンで香り付け。これもディルとレモンが決め手で、シンプルで美味しい。


【グラッシュスープ】

  • 牛肉が食べたかった。ハンガリーのグヤーシュが原形で、ドイツ・オーストリアあたりではグラッシュというらしい。グヤーシュだと玉ねぎを炒めたあとに水を足して煮詰めてまた水を足してを何度も繰り返し、肉を入れたらじっくり煮てまた水を足して人参を柔らかくなるまで煮てからジャガイモを入れてまた煮て‥‥と非常に手間暇のかかるレシピなのだが、グラッシュのほうは簡易版のようで、小麦粉を炒めてとろみをだして肉を煮てから人参・ジャガイモを投入する。トマトペーストで安定の美味しさ。サワークリームの代わりにプレーンヨーグルトをトッピングしてみた。


煮込みを作っていると月桂樹の葉を消費するので、面倒くさくなって大きめのパックをあまぞんさんに頼んだら、思いのほか大きいのが来た。これで525円だったので油断した。
しかし食い気に走ると結果太るという別のストレスがかかるので加減が難しいのである。