映画:ベイマックス(監督:ドン・ホール クリス・ウィリアムズ)


東京とサンフランシスコを足して2で割ったような架空の町「サンフランソウキョウ」が舞台である。西洋と東洋が混然一体と入り混じっているとなんだか未来感が増幅される。よくある西側諸国から見たトンデモニッポンではなく、なんだか地に足の着いたあり得そうな風景が流れていく。このあり得そうというのは実際にはあり得ないのだけど、もし本当にサンフランシスコと東京が融合するようなことがあったらこうなるかもしれないと思わせる、わけでもないのだが(どっちだよ)、想像の世界での“あり得そう”なのである。実際のところ、東京において新規で純和風のプロダクトデザインが採用されて普及することはあんまりない気がする。例えばビルの上に浮かんでいた風力発電装置っぽいフグのデザインは、鯉幟を彷彿とさせていいものだけど、実際にそうなるかといったらまずないだろうな。そういう“本当にこうだったらいいのにな”と思わせるような土着ナショナリズムと文化の進んだ先進都市の融合具合が実に夢があっていい。移り変わる景色を眺めているだけでも相当に楽しくて、歩くベイマックスを追いかけるところなど、街並みが坂道と路地でどんどん表情を変えていくのをずっと見ていたかった。
ところで今回は4DXの劇場で見たのである。座席が映像に合わせて動き、霧や匂いや風が顔に吹き付ける体感型シアターである。これが最初は楽しかったのだが、話が進むにつれて映画に没入したいのに、ここぞというときにガッコンガッコン動いて事あるごとにプシュプシュいうのがうるさくなってきた。私は本を読んでいても音楽はおろか風すらうるさくて暑くても窓を閉め切る人間だもので、他の人がどう感じるのかは知らない。初めて鑑賞する作品じゃなくて2回目以降だったらいいのかもね。
あと同時上映の犬のショートフィルムだが、観る前から周りが騒いでいたのでどうなんだろうと思ってたんだが、うん、アレはダメだね。