いつもの調子で

目が覚めたら7:50だった。いつもなら家を出る時間である。ずぉっと音がしそうな勢いで頭に血流が巡り、飛び起きて8分で玄関を飛び出した。着替えただけの化粧もコンタクトも毛髪の手入れも昨夜のうちに八割方詰めておいてあとは卵を焼くだけだった弁当もなし。でも体重だけは計った。駅まで遠いので少し走れば5分くらいは短縮できる。
始業の鐘の音と同時に席に滑り込み、雨に濡れた眼鏡を拭く。前日の続きで書類を仕上げて上長へ回し、ノートを広げて殴り書きした作業内容をひとつひとつ潰す。請求、計算、確認。その間にコーヒー2杯を喉に流し込む。そろそろ始まる現場のために各所へ電話で根回しをしてから、懸案の機器の現場組立の段取りを考える。あれなぁ、合間見て私がやるしかないんだろうな。先に納品して貰っとくか。そんなことをブツブツ言いながらトイレに立ち、ついでに化粧し損ねた分のリカバリーで日焼け止めの粉だけはたいておく。どうせいつもと大差ない。最低限の化粧は女性の身嗜みだといわれているが、すっぴんメガネでも誰も何も言わない。たぶん触れちゃいけないと思われれてる。そんなものである。