帰りたさ

先週は風邪をひいていた。それなりに仕事は忙しく、発熱のせいかぐにゃぐにゃしながら脚立を担いで歩いたり、タイピングしながら指がコケるのにけらけら笑いながら内訳書を作っていた。そうしながら潜在的引きこもり精神の持ち主なので仕事中はだいたいいつでも帰りたいのだが、その帰りたさにも段階があるな、などとくだらないことを考えていたのだった。
まとめてみると、

  1. 帰りたい。(基本形)
  2. いますぐ帰りたい。(脳内で帰る道筋をシミュレーションし始める)
  3. なるべく歩かなくて済むルートで帰りたい。(それぞれのルートに係る労力と時間的コストを比較検討する)
  4. ここでタクシー捕まえていろいろすっ飛ばして帰りたい。(思考停止)
  5. 帰るのすら面倒臭い。(諦念)
  6. この場で横になりたい。(空白)

仕事中の決して帰れるタイミングではないにも関わらず、こうして虚しい夢想に浸っているのである。ちなみに3番以降は帰ったら即布団へ直行することを想定している。
今回の風邪程度なら2〜3の間をうろうろするくらいか。基本的にストレス耐性が高く我慢強いのである。しかしこの夏の終わり頃はずっと6番だった。さすがに帰り道の路上のその場で丸くなりたくなったときには、自分で心身の状態がヤバいんじゃないかと思った。人間はそんなに強くない。つるかめつるかめ。
感情というのは基本的には身体の状態を反映するものなので、疲れたり腹が減ったり寒かったりすると気分が落ち込むものである。逆もまた然りで気持ちを養えば身体もまたついてきたりもする。私の心身はだいたい帰りたさ具合に反映されるので、日頃からつぶさに観察しているのだ。今は風邪も治ったので1番に留まっている。