ミュシャ展に行ってきたんだった

そういえばゴールデンウィークの連休中に新国立美術館ミュシャ展に行ってきたんだった。

混み具合をちょっと甘く見ていて10時開場のところ11時くらいに現地へ着いたのだが、すでに長蛇の列がとぐろを巻いていた。しかし同時に開催していた草間彌生展のほうがもっと長いとぐろだったので、快晴の屋外での50分待ちもまだマシなほうだと思えて我慢できた。グッズ売り場のレジ待ち列もこの時点で既に「最後尾はこちらでーす」と案内が出ている状態だった。
目当てはスラヴ叙事詩。巨大なカンバスに描かれたスラブ民族の歴史を綴った大部である。ミュシャはアールヌーヴォーのポスター絵が有名だし、私もミュシャといえばあの特徴的な絵を思い浮かべるのだけど、何か思うところがあったのか晩年の16年の歳月をこの連作に費やしたのだという。ミュシャはすべてをセットで公開するという約束でプラハ市に売却したらしいが、製作当時に流行っていた技法ではなかったので当時はあんまり人気が出なかったとか。いろいろあっていまはモラヴィアのモラフスキー・クルムロフ城で夏季だけ公開されているのだが、今回これが国外に出るのが初めてなんだそうで、それについて関係者筋からは賛否こもごもだったらしい。
いま改めて見ると、前景と後景の配置や匂い立つ物語性などが相俟って、なんだか小説本の表紙絵のような印象がある。ひょっとして逆なのかな。後世の作家がこれの影響を受けたのかもしれない。
大作なのでできれば少し離れて眺めたいところなのだが、なかなかの盛況でそうもいかなかった。ミュージアムショップも混み具合がエライことになっているのに恐れをなして、何も買わずにそうそうに退散したのだった。


国立新美術館開館10周年・チェコ文化年事業 ミュシャ展

その後、地下に潜って昼間っからビールをキメて正しい連休の在り方を模索した。


ほろ酔いになって外に出てみたら快晴の真昼間であった。

大道芸の尺八の音を聴きながら帰ってそのまま昼寝するという連休満喫コースを突き進んだときには、3日後にインフルエンザで高熱を出すとは夢にも思わなかったのだった。