映画:メッセージ(監督:ドゥニ・ビルヌーブ )

とても面白かったのだけど、何を書いてもネタバレになりそうで非常に感想が書き難い。監督のドゥニ・ビルヌーブって誰、と思ったら、「複製された男」の人なのね。ああ、なんか納得。ファーストコンタクト物のSFだけども、かなり観念的な映画であった。


事前に禅の影響が云々というのは目にしており、正直ハリウッド映画の「禅」かぁ、という気分でいたのだけど、観たらなるほどなるほどと唸らされた。
禅かどうか知らんが、仏教の解説で同じ言葉を何度も繰り返す話法がある(と思っている)。1回目は前知識なしのそのままの言葉として理解される。少し説明して挿入される2回目は前回とは少し違った意味にとれる。それを踏まえてまた説明が入り、また同じ言葉が違う意味で理解される。そういうのを繰り返して深化し、いつか「言葉で説明できない域」まで辿り着こうとする。なんだかそういう空気を感じたよ。
人として生きるとはどういうことかを考えたとき、もうしょうがない域ってあるんだよね。悟りを啓いてもいない凡俗の身でどんだけ考えても、目の前のことを誠実に大事にする以外、どうしようもない。やりようがないのよな。そういうことだ。
私にとってはそんな話であった。