ここ半年で観た映画

ゴッホ~最期の手紙~』(監督:ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン)

 


映画『ゴッホ ~最期の手紙~』日本版予告編

油絵をアニメーションにした実験的な1本ということで、画面以外はあんまり期待していなかったのだが、ゴッホの最期を巡って謎解きをしていく構成でなかなか息もつかせぬ展開なのだった。
ところどころゴッホの絵そのままの構図になるので、ああこれか凄いね凄いや、と大喜びし、そのままその絵がぬるぬると動いていくのでまるで絵の中に入っていくような感覚にとらわれる。ゴッホの友人だった男はパリで不達になったゴッホの手紙を届けることになる。そのために弟を探し、その弟がすでに故人であることが判明したので仕方なく渡すのにふさわしい誰かを探して、ゴッホが最期を迎えたオーヴェル・シュル・オワーズまで足を延ばす。ゴッホ自身が歩いた土地で絵を描いているのでその風景が無理なく再現される仕掛けになっているわけである。
死因の謎は、最近になって犯罪科学の面から提唱されている仮説に辿り着くが、さて真相は風に吹かれて黄金色の麦畑で舞っている。

 

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(監督:ナタウット・プーンピリヤ


映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』予告篇

中国で実際に起こったカンニング事件をモチーフに制作されたタイ映画である。実話が元になっているためか、クライムムービーといっても主人公が天才である以外はぶっ飛んだ話ではなく、わりと地味に精神にくる綱渡りの連続なのだった。これを観たときに調子が悪かったのもあってか、過剰共感してしまったようで観終わったころには若干具合が悪くなっていた。昔からそうなんだよな。ぶっ飛んだクライムものなら平気なんだが、こういう罪悪感や焦燥感を刺激されるフィクションに物凄く弱い。

 

ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(監督:クリストファー・マッカリー


『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』ヘリスタント特別映像

トムさん、なにやってんすか映画である。アクションはまずアップで撮って、そのまま切れ目なくズームアウトしてはとんでもないところでとんでもない状況をスタントなしで撮ってるよ! とアピールするのに余念がない。わかったから。わかったから、もっと自分を大事にして、トムさん。