久しぶりに読んだ:独学大全

何度かここにも書いているかもしれないが、ここ数年は本が読めていない。
もともと趣味は読書だったし、はてなダイアリーを始めたころは日記半分、もう半分は読んだ本の記録くらいの気持ちで始めたのだが、2014年くらいから仕事が忙しくなったのを皮切りに、徐々に本を開いても目が滑ってきて、4年前くらいからはほぼ読めていない。忙しいからだけではない。明らかな不調のサインであるのは、なんとなくわかっていた。
それと同時にどうも興味関心が全般的に薄くなっているようだ。何か言葉を書こうとしてもなにも出てこない。真っ白な空白にたじろぐ。やりたいことがあったような気がするけど、自分の中が空っぽで何も思い出せない。何が好きだったのかすら忘れてしまう。忘れてしまうので別に辛くもない。なんかおかしいなぁと思いつつ、さりとて眠れなくなるわけでもなく、食欲が落ちるでもなく、仕事に行けなくなるわけでもない。社会生活上は何も困らないのである。難があるとすれば肩こりがキツくてどんどん太ってくるくらいか。
一応いろいろ工夫はしている。走ってみたり歩いてみたり筋トレしたりストレッチしてみたり、鍼に通って食養生を試したり。身体を動かして頑張る方向の努力は悉く疲れるだけで効果がみられないので、近頃はちゃんちゃんと仕事に行って休んで寝て血を作るような食事を目指している。そうしたらなんとなく頭が動き始めたような感触があった。なんだ、人参か、人参が効くのか。
具体的には急に怒りっぽくなったのである。きっかけがあると急激にイライラが吹き出して異様に怒る。自分の一部が離人してドン引きするくらいの勢いである。これはマズイ。誰かにあたって取り返しのつかないことになる前に自重しよう。
しかし私は知っている。一度無感情に陥ってから回復するときには、負の感情が一番最初に出てくるのだ。大昔に鬱から復活したときも同じことが起きた。無意識に我慢してきたあんなことやこんなことを事細かに発散するのも必要な手順なのだ。そうしているうちに正の感情も出てくる。
そんなときにふと、なんとなく目にとまったこれを読んでみたいと思ったのである。

 

ビジネス書かぁ。あんまり読みつけないけど、まあいいか。せっかく久しぶりに読みたくなったのだ。リハビリ代わりに読んでみよう。
そんな感じで読み始めたら、頭の中に連想の火花が散ってなんだかものすごく懐かしい感覚を思い出したのだ。自分が何にワクワクして、何を知りたかったのか。物事を知ったときのコペルニクス的転回の面白さ。ああこれか、と思ったのだ。とても曖昧で輪郭がはっきりしなくて説明し難いものだが、確かにそこにあって私をよろこばせるものだ。独学者というほど突き詰めたもんではないが、知ることの楽しさが次の面白そうなものを連れてくることは知っている。ただひたすら面白いと思うものは楽しい。
だいぶ厚い1冊なのでピンとこない部分はあったし、とにかく書き出して明文化し目に見えるようにするんだなぁというのが読み終えての正直な感想だ。勉強の仕方も目的も千差万別だし、私の好きなことはお勉強ですらない。しかし内容そのものよりその方向性が見せてくれたもの、それに突き動かされてああ本が読みたいなと胸に熱が点ったような気がした。

しかし今度は忘れないようにマインドマップくらいは書き出しておこうかな。