読了:「動物農場」(ジョージ・オーウェル)「愛がなんだ」(角田光代)

動物農場 (角川文庫)

動物農場 (角川文庫)

「まんがで読む日本の歴史」は結構判り難いと思いますが、この寓話で読む権力の移り変わりはとても判りやすかった。
書かれた時代を考えればロシア革命を風刺したものなんでしょうが、旧政権を追い落とし、民衆の代弁者だったはずの新指導者集団が仲間割れして、意見を異にするライバルを追い出し、独裁者になっていく過程は、なんてどこでも似たようなものなんでしょう。
どこにでも当て嵌まる話は、まさに寓話にふさわしい。
こうしてみると、小泉さんの独裁もそろそろ危険な兆候が見えているんだというのが、よく判る。なるほどなぁ、次は選挙に行こうかなぁ。
それを書いたオーウェルはやっぱり凄い人なんでしょう。
それにしても、このテの本は解説が長過ぎる。
愛がなんだ (ダ・ヴィンチ・ブックス)

愛がなんだ (ダ・ヴィンチ・ブックス)

マモちゃんと出会って、世界が「好きである」と「どうでもいい」とにきれいに二分された山田テルコ、二十八歳。マモちゃんが「好き」で、それ以外はすべて「好きな人より好きじゃない=どうでもいい」。無断遅刻早退欠勤で会社もクビになり、それでも好きな人といられるなら、どうでもいい。
友人の葉子は、男は甘い顔をするとどこまでもつけあがると言う。言いなりになってると、男との関係性が決まってしまう。尽くすだけ尽くして粗雑に扱われる。そんな恋愛は気が違ってる。
テルコは葉子の人生観は葉子のもので、私の人生観とは違う、と初めから看破している。だからどんなに忠告されても、好きな人のそばにしがみつく。なんて自主的な「都合のいい女」なんだろう。
葉子とテルコ、どっちに似ているかというと、私はテルコのほうだ。断言できる。多分ちょっと見はすみれさんだろうが、中身はテルコ。
でも最後まで読んで、ひゃぁぁぁ、そうきたか、と思った。サイコスリラーかサスペンスの始まりのようだ。でもちょっと、天晴れと思う心も残った。