偽造?

しかし、姉歯さんはやらかしました。
同じ業界なので、状況はとても良く判るのですが、そこは踏みとどまらなきゃいけないところだったんですねぇ。
極悪非道で狡猾などこからどう見ても憎むべき人物が身の回りにいて、自分も迷惑を掛けられていて、その上神経を逆なでするようなことをされて、殺してやりたいと思っても、実際手を下してはいけないんです。犯罪の構図はいつもどこか似ている。同じ業界の人間として恥ずかしいなどと臆面もなく言えれば楽なのですが、ついつい楽をしたくて狡いことをする、失敗は覆い隠したい、バレちゃったら不貞腐れる等々、身につまされることが多すぎます。大なり小なり、そうした罪は今まで自分も犯してきた。
犯罪者を擁護するつもりはありませんよ。脆いコンクリートの山は、凶器ですから。崩れたらどんな負のエネルギーになるか知れない。ただ、ワイドショーなどで、論も理もなくとにかく責め立てる様を見せられているので、そっちのほうはもういいか、という気分になっているだけです。
紙の上でしたことが、現実に形あるものとして立ち上がる、そうした想像力が鈍磨していたんでしょうか。
もうなぁ、六十億もいるんだもんなぁ、アイデンティティもクソもないよな。

追記

もっと赤裸々に感想を言うと、この問題はよく言われるように、氷山の一角だと思っています。もちろん業界凡てがそうだというのではなく、姉歯氏の奥にもっと魑魅魍魎が潜んでいるように思えます。やらかした、というのはバレるようなことをした、油断して足元を掬われた、という意味です。
そこでバレないようにすれば良いというのは論外ですが、それをして得られるものが何程のものなのか、紙が現実になる不可思議さと、ちょっと心が挫けたことがもたらす未来を想像することは、よく似ていると思います。