迷信

朝っぱらから髪留めが音を立てて壊れた。
バネが入っている鼈甲色のプラスチック製の安物もので、長すぎる髪が何かにつけ邪魔なので、家にいる間くるくると巻いてアップにするのに使っていた。割とよく壊れるものではあるのだが、何も朝一番にオシャカにならんでもいいじゃないか。
櫛が折れると身内に不幸が、などを筆頭に、結句縁起が悪いといわれるのを連想してしまい、コレで今日は厭なことばかりに目がいくな、悪い悪いと思っていると不運なことばかりに注意が向くって寸法だな、呪にかかるってやつだ、あっはっは、と思っていたのだが、帰りの地下鉄を逆方向に乗った以外に特に悪いことは起きなかった。
悪いことに注意が向くどころか、どんだけ散漫なんだ、いい加減に慣れろ。