初乗り

自転車で図書館まで行ってみた。
こっちにきて初めて自転車に乗った。拠点が山の上なので、どうも今まで自転車に乗る気がしなかったのだ。いっぺん坂を下ってしまえば谷を縫いながら行ける処があちこちにあるのだが、帰りの最後の行程で心臓破りの登りがあるとやはり億劫になってしまう。
横浜の坂は仙台の比ではない。
私の実家がある場所も泉ヶ岳の麓といわれ、高台にあって市街地と比べると気温は二、三度違うし、桜の開花も一週間遅れであるくらいの標高差があった。そこではエンジンのついていない乗り物は使えないと嗤われたものだが、こちらの山谷山谷の連続はそんなものではない。険しさが違う。仙台の人なら八木山が延々と連なっていると思えば判りやすい。そんなローカルな判りやすさを求めてどうする。地図で平面的に見ると大した距離ではなくとも、標高差があるのでR=√x^2*y^2である。そんなことを考えてしまうくらい、激しく厳しい坂道である。もしかしたらチョイノリあたりだとちょっと荷物持ったら登らないんじゃないのか、この坂は。誰だ、坂のある街ってステキとか寝言をほざいているのは。
ともかく図書館まで行ってみたのである。通勤用にグインサーガの続きをまとめて借りて来ると方針を決めてから出かけたので、現地ではさほど時間はとられなかった。それでも帰ってきて驚いた。家を出て一時間しか経っていないじゃないか。帰りにちょこっとスーパーにも寄ったのに。こんなに近かったのか。
坂って心理的な距離抵抗を生むよな。いや、本当に。