読了:「こころ」(夏目漱石)

こころ (新潮文庫)

こころ (新潮文庫)

尻切れトンボ。漱石先生ではこれの前に「明暗」を読んでいたので、最後まで書かないのがこの人の味なのかと勘違いしてしまいそうだ。や、明暗が未完の大作なのは知ってるし、他の作品も読んではいるが。
楽器の弦のように、切れる直前まで引き絞った遊びのない状態というのは、人の佇まいでも好い音が出るのだろうか。
今までの経験でもそうだが、ギリギリまで頑張っているときというのは、他人は妙に好意的になる。普通に生きている時期に同じことを言って無理でも、なにかこれで駄目なら死んでやるぐらいの勢いでいるときは何故か意が通るものだよな。
夏目漱石を読むと、そういうことを思い出す。