春の雨

朝は煙るような柔らかい雨であった。湿気を含んだ風が乾季の終わりを告げる。水に漬けた乾物のようにしみじみと潤いがいきわたり、生き返る心地がする。雑草か、私は。ペンペン草なのか。しかしお陰で皮膚も髪もしっとり落ち着いている。
さて外界の麗らかな気候とは裏腹に、腹の中はクサクサしていて、またぞろひとりになりたい発作が起きているのであった。
誰もいないところで、ぼんやり自分を解放したい。人に化けた狐狸がいつも尻尾を隠している気苦労が判る気がする。ぴろん、と尻尾を出しっぱなしにして、人に見せられない姿も露わに気兼ねなくくつろぎたい感じ。