気配というもの

人は点がみっつあると、無意識にそこに顔を見てしまうのだそうだ。
複雑に枝分かれした白っぽいものを見ると手に見えたりもする。茂みに引っ掛かったゴミでも、ぱっと見、人体の一部に見えてドキッとしたことはないだろうか。あるいは、薄暗がりでなにかの瞳に光が反射したように思えて、薄気味悪くなるとか。
ちょっとした特徴で瞬時にナニカイル!と感じ取る能力は同類や天敵を見分けるのに役に立つし、想像だが多分森で暮らしていた頃からの生きるための必須スキルだったんだろう。
そういう能力があるから、マンガなどのデフォルメされた図象でも、「コレは○○を表しているのだな」と見立てることが出来るのだ。
気配というのは意識に上らない目の端にひっかかるそうした情報からも生まれる。実際に息遣いや生命体や魂がそこにあるかどうかは問題ではないのだ。あるのはカタチである。視界のグレーゾーンに映る白っぽいもの。ヒトのカタチに似ているもの。それをどう受取るか、ということだ。錯覚か、思い込みか。