映画:ダーク・シャドウ(監督:ティム・バートン)


ティム・バートンジョニー・デップのタッグの新作である。はみ出しものの悲哀というのは相変わらずのテーマなのだけど、シザーハンズがシリアスぶった尻の青いガキの感傷だったのに対し、今度はコメディになっているのが「お、大人になったな」という印象である。哀しみに打ちひしがれてればいいのは、子どものうちだけよ。
キャラクターが多くてとっ散らかっていたのは、もとはTVドラマシリーズだったからか。ジョニデのヴァンパイアと魔女とお母さん&甥以外はキャラクター紹介のために登場したようなもので、影が薄い。クロエ・モレッツの存在感もあんまり画面に出てこないのは如何ともしがたく、最後のナニのソレがいきなり唐突。テレビドラマならそれぞれに焦点をあてたエピソードが作られるから、逆にあまり出てこない回もあってしかるべきなんだけども、そういう心算なのかなぁ。ヘレナ・ボナム=カーターの精神分析医のエピソードなんか、続編作る気まんまんだもんなぁ。
幽霊のシーンも美しく、ゴシックスリラーの妖しい雰囲気が素晴らしいのはさすがのティム・バートンである。心臓を差し出すところなんか観ていて胸にぐっとくる。心臓だけに。『没落した一族の再興を』『家族を守る』という目標なのだけど、成り行きでどんどん違う方向へ転がっていってしまうのは、ままならなさを面白おかしく描くという王道のコメディであった。しかしミシェル・ファイファーは相変わらずの美しさだったが、エヴァ・グリーンの魔女もこれまた凄かったな。