日蝕のあった日

金環日蝕である。何百年かに一度の天体ショーとくれば、SF好きとしては目撃せずに済ませるわけにもいくまい、ということで何の準備もせず当日に臨んだのであった。だってせっかく日蝕グラス買っても曇ってて見えないかもしれないし。それどころか布団の中で目覚まし時計を胸元に抱え込み音を殺して二度寝していたところを、雲の切れ間から太陽が顔を覗かせた瞬間だったのか、外から一斉に歓声が聞こえてきたのに驚いて目を覚ましたていたらく。早い話がすっかり忘れていたのである。慌てて飛び起きて外に出てみると、ちょうど輪っかになる直前くらいのいい時間だったので、手持ちのあいほんの画面を暗くして鏡のように空を映してみると、薄い雲を通してきれいに石がはまった指輪のような太陽が見えた。これだと写真は撮れないけど観られたからいいや、と満足して、慌しく準備をして出勤したのだった。
しかしよく考えたら格好のブログネタになったんじゃないか。やっぱり写真とっときゃよかったんではないのか。このところ、どうもそういうマメさが足りなくなってきた。酒ばかり呑んでいるからか。と嘯きたいところだが、確かに酒も呑んでいるけども実際のところ仕事が忙しくなってきて手が回らなくなっているのだった。一日の半分以上を会社で過ごす日々に青息吐息である。
それにしてもしかし、痩せたかったら野菜を喰えとか寝ろとかいうけど、どんだけ野菜厨でもロングスリーパーでも、連日の残業のお陰で動きもせず夜中に食べる生活してたらそりゃぶくぶく太るってものだ。これで痩せ始めたら逆にヤバいだろうよ。そんなふうに無理やり自分を慰め納得させて、今日もヒィコラ残業するのだった。