蕪のスープ煮

ものぐさなためすっかりネットが兵站補給線となっているわけだが、発注にはミスも伴う。週1配給分の注文したつもりで安心していたら、今週はよりによって野菜をまるっと頼み忘れていたらしく肉と魚ばかりが配達されたのである。仕方ないので近所の八百屋に仕入れに行ったのだった。残業せずに帰ってきて良かったよ。
しかし宅配に頼っていると品数が限られているので面白味がないというのはある。生きるに不足はないんだけどな。そんなときは安くて品揃えのいい八百屋が近所にあってよかったと天の恵みと八百屋のおばちゃんに感謝を奉げるのであった。この八百屋は季節折々に様々なものを置いてくれるので、毎回行くのが楽しみなのだ。ネットでは確かに何でも売っているけども、自分がバイヤーにならなければならない。ということは、おのずから自分の能力を超えることのできない構造となっているのである。専門店におけるバイヤーがいてこその仕入れの妙、末端消費者が望む以上のパフォーマンスがそこにある。
御託はともかく、早い話が近所の八百屋に買い物に行ったら白雪という蕪が売られていたのである。そして小蕪より柔らかい品種だというのでこれをスープ煮にしたら、ことのほか美味しいものが出来たのだった。焼くだけ、煮るだけ、果ては千切るだけというようなシンプルな料理が好きな私だが、これもコンソメで煮るだけの手間要らずである。

皮をむいた蕪を丸のまま鍋に入れ、ひたひたの水にコンソメキューブを入れて柔らかくなるまで煮たら、1日置いて次の日に温めなおす。皿にスープごと盛って、上からお好みの胡椒他香辛料をふったりサワークリームをのせても合いそうだ。今回は胡椒とディルとパプリカパウダーをかけたら、見た目がふりかけをかけたみたいに粉っぽくなった。ディルが細切り海苔に見える。しかしこれを匙で崩しながらスープにひたして口に入れると、馥郁たる香りが広がるのである。簡単なものだけど柔らかく煮た蕪の甘さというのはなにものにも代えがたいものがある。できればトロトロに溶ける寸前くらいまで煮たのがいい。