読了:胡蝶の夢(司馬遼太郎)

胡蝶の夢

胡蝶の夢

やっと読み終わりました。
松本良順の侠気、伊之助の現代っ子ぶり(?)、関寛斎の飄逸。時代が動き、それぞれの人生を辿る、長い長い物語でした。良順の実父の、佐藤泰然がカッコイイ。
司馬氏の奇を衒わない平易な文章にあって、伊之助のような異才の奇人が宙に浮かずに、ただそこにある人物として、まともな良順らと並べて描かれているのが、かえって新鮮でした。そして出てくる人物の魅力的なこと、男の格好良さの標本のようです。
この世は夢か、夢が現か。儚いばかりが夢ではない。痛みも苦しみも歓びも、馬鹿馬鹿しさまで詰め込んだ夢もあるのですね。