読み中:「西の善き魔女」(荻原規子)

西の善き魔女〈2〉戦いの巻

西の善き魔女〈2〉戦いの巻

一巻を読んだときにもうっすら思ったのだけど、この物語は、子供の頃に聞いた「女が権力を握れば戦争はなくなるわよ」という小噺(サトウサンペイさんのマンガだったかなぁ?)を、大きくかつ細密に膨らましてできている気がする。最近、ジェンダーな話題にどっぷりだったので、そんな連想をしただけかもしれない。
既成の物語にありがちな設定でも、男女や老若を入れ替えるとなかなか面白いと感心したのは、「ダールワス・サーガ」(マイナー過ぎますか、面白いですよ。剣と魔法のファンタジーもので「闇の戦い (ハヤカワ文庫―ダールワス・サーガ)」「迷宮都市 (ハヤカワ文庫FT―ダールワス・サーガ)」「光の軍隊 (ハヤカワ文庫FT―ダールワス・サーガ)」の三部作です)を読んだときだった。既知のモノが違って見える新鮮さかな。
西の善き魔女」の世界ではアンデルセンやイソップなどの童話が禁書になっていたり、竜と呼ばれる多分恐竜のような生き物が巾を利かせていたり、こちらの世界がちらちらと見え隠れする。中世ヨーロッパ風文化だけど権力の中枢は女性で、騎士はその女性を守るために存在していたり、キレイなドレスと不思議な宝石、とにかく女の子の夢という夢を詰め込んでいる大甘なデコレーションケーキのようなんだけど、妄想というかディティールが細かくて、甘いだけじゃなくリキュールも結構入っている。つい釣り込まれて、ぐいぐい読んでしまう。うまいなぁ。