冒険


ダンジョンからいま帰った。あとでもうちょっと足す。


人の入らないその奥に、人の頭がすっぽり入りそうな巨大なウツボカズラが密生している。チクチクと人を刺す目に見えないほどの微細な針。触れると手が切れそうなワイヤーの網。古い建物の床下は妙に涼しい風が流れていて、秋の虫が静かに鳴いている。狭い螺旋階段を登ると昼でも真の闇が支配する狭い洞窟のような通路が延びている。どこからかぴちゃん、ぴちゃん‥‥と等間隔に水滴が落ちる音がする。ここは何処だろう。抜け道を探し、あてにならない地図を広げる。ペンライトの小さな丸い輪の中に青い今にも消え入りそうな線が浮かび上がる。やっとくぐれるくらいの四角い扉のついた孔にアリスの気分で潜り込む。抜けた先では埃っぽい空気が下から上へ吹き上げる。間に合わせの梯子を降り、入り組んだ立体迷路を高圧電流が流れるチューブを用心深く避けて這い回る。


誇張してるけどフィクションではない。