ボンボンジン


また性懲りもなく新たな編物を始めているのだが、二週間で十五センチくらいくらいしか編めてない。今日こそやろうと思いつつ帰るのだけど、細々とやることがあって手につかない。あと、今日は眠いとか眠いとか眠いとか。このペースだと、単純に考えて出来上がるのは半年後である。バッグを編んだときは夏が終わってしまったが、今度は冬が終わってしまう。ピンチである。
私は不器用なタチなのでいちどきにひとつのことしか出来ない。テレビを見ながら新聞を読むとか、音楽を聴きながら本を読むとかいうような、いわゆる『ながら』が出来ないのである。せいぜいタバコを吸いながらコーヒーを飲むとか、洗濯機を回しながら洗い物をするくらいしか出来ない。そりゃスイッチを一度押せば洗濯機は勝手に回ってるからな。
これが出来ればDVDを観ながら編物が出来るんだけどな。しかし実態は編物をしながら人とお喋りしていても、上の空になるくらいのモノラル人間なんである。DVDを観れば手元が疎かになり、編物に集中すればDVDはまったく観られない。
これってなんか、時間を損してるように思えるのは気のせいか。平行してこなせれば時間は半分で済む。多少効率が悪くなるとしても、別々に処理するよりは短くて済みそうだ。てことはなにか、私の人生はマルチなひとの人生より内容的に薄いってことか。てか、脳の処理能力の問題なのだから人生の濃淡にはもともと個人差があるものなんだとしたら、私とマルチな人との間には天才と凡人くらいの開きがあるんじゃないか。
そうか、私は凡人の中の凡人、凡々人だったのか‥‥。