- アーティスト: マルサリス(ウィントン),クラーク,アルバン,レヴィ,パガニーニ,リムスキー=コルサコフ,ベルシュテット,ハンスバーガー(ドナルド),ハンスバーガー,イーストマン・ウィンド・アンサンブル
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 2000/11/01
- メディア: CD
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下はこの中の一曲『くまん蜂の飛行』、ピアノ版である。そのものズバリ、クマバチが飛んでいる様を描いた曲。1分半くらいなのでどんだけ速いのか、是非聴いてみて欲しい。
さて、このピアノの限界に挑むような一連のムチャクチャ速い曲を、技巧を誇示するために他の楽器で演奏することがある、というのが本題で、何を隠そうこのCDもそのひとつなのだ。
このCDで演奏しているマルサリスはコルネットの人である。コルネットというのはトランペットとよく似た楽器で、それより若干丸くてひとまわり小さく出る音色も丸みを帯びて柔らかいのだが、大雑把にいっちゃえば技巧的にはトランペットと大差ないとご理解いただきたい。
知ってる人なら当たり前の話だが、金管楽器というのは一音一音の唇の開き加減や息の強弱、舌の配置や動きなど、様々な要因テクニック手練手管に気を遣い微調整しながら吹くものである。そのへんは木管楽器も一緒かもしれないが、私は木管を扱ったことがないのでよく判らない。といっても、金管楽器もかじった程度だが。
ともかくトロンボーンなどの例外は置いといて、金管楽器はバルブを押したり放したりすることによって調整された音程が出るようになっているものが多いわけだが、実際のところマウスピースだけで音階を奏でられるように、楽器をつけた状態でもバルブの機構に頼り切るわけではなく目的の音程に合致するように口元を調整しつつ吹いているものなんである。むしろそのように吹かねばまともな音は出ない。判ったような口を叩いているこの私は、もちろんそんなことができるわけがない。ちょっとテンポが速くなるとビロビロのべーである。私のことはどうでもよいのだが、そんでもってバルブを押し下げる落差も1〜2cm程度はある。それを3〜4本の指の組み合わせによって音階を表現していく。暗号のような指の組み合わせを考え、息や唇の調整をし、動きの大きいバルブをベコバコと押す。はっきしいってあんまり速い曲を吹くのは大変なんである。
そのような条件下で、ピアノでさえ指がもつれるほど難しい曲をコルネットで演奏しているのだ。しかもひとつひとつの音が流れず潰れずきれいに並んだ玉のように明瞭で、それだけではなく時折挟まれる長音も血管が切れそうな高音も、恐ろしいほど甘く伸びやかである。これを聴いたとき、パソコンのスピーカーを少し良いものにしといて良かったとしみじみ思った。
もうね、素晴らしいを通り越して呆れてしまう。バカだろ、コレ。何やってんだ、一体。なんちゅー才能の無駄遣い、いや、無駄じゃないけど、どんだけなんだと。
金管経験者なら爆笑すること必至、私のようなド素人でもこのように感動することができる一枚である。
ところでテューバでやってるひとも見つけてしまった‥‥だからなにがしたいんだよ‥‥。
さすがに音量は出ないらしい。ちなみにテューバはこんな楽器。
技能派集団
またつい見つけてしまったので追加。さすが全員がエースで4番の世界最強ウィーンフィル‥‥仕事中に本気で笑いそうになって慌てて手で口を押さえた。剣の舞、二分弱版。