映画:チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ(監督:ニキル・アドヴァーニー)

路地で食料品を売るシドゥ(アクシェイ・クマール)の前に、謎の通訳・ハシ道士(ランヴィール・ショウリー)が現れる。「あなたは中国の英雄の生まれ変わりだ」と言われ、あっさり中国までついていってしまうシドゥ。しかし、ハシ道士の狙いは、シドゥに村のギャング・北条(リュー・チャーフィ)を倒させようというものだった。

ボリウッドのコメディ映画である。インド映画といえば歌って踊ってミュージカル仕立てでハチャメチャなストーリーである。このハチャメチャぶりがうまいことギャグになってて凄く楽しい。
歌あり踊りありギャグありラブストーリーあり、更に出生の秘密あり涙の再会あり、記憶喪失もギャングとの抗争も潜入捜査も魔法のような小道具もあって、もちろんカンフーと修行もというてんこ盛りである。お腹いっぱい。
しかしとにかく間がよくて二時間半ある長尺だったんだが、途中で挟まれる「intermission」の文字すら場内の笑いを誘ってたよ。インドの映画館では本当に途中で休憩するのが当たり前らしいが、今回はそのまま続けて流されてた。
主人公シドゥ役のアクシャイ・クマールはお間抜けな役柄だけども、スタイルも顔も良くて、普通にしてたらエライ渋くていい男である。スタントマンを使わぬボリウッドのプレイボーイであるらしく、そもそも役者になる前は武道を教えていたんだそうな。(参考)さすがにカンフーのシーンはキマっているし、踊りも美しい。もっとも二十代の若者の役だったけど、ご本人は当年とって42歳。うん、ちょっと若造には見えなかった。(おっさん好きの目利き)
スラムドック・ミリオネアのときも思ったのだけど、アチラの俳優さんや女優さんはダンスができなきゃ話にならんのだろうな。ヒロイン役のディーピカー・パードゥコーンをはじめ、他の役者さんも踊りだすと普通に演技しているときより物凄く存在感が増すし、実にキレイな動きをする。それだけ観てもいいくらいだ。ボリウッド、侮りがたし。
ところで悪役が日本人だったのが面白かったな。既得権益を持ってるのはあの辺では日本人ってことなんだろうか。「打倒北条」と中国語でシュプレヒコールをあげるのが「ダド・ホジョー」で、微妙に日本語と通じるし。でもラスボスの北条じいさん、絵面があんまり強そうじゃなくて、最後の決戦ではそれすらギャグなのかと‥‥。
テンション高くテンポ良く楽しい怒涛の展開で、観終わったあとに『なんだか今日はいい日だなぁ』という気分になった。なにもかもうまくいくさ。ところで下町の親方は何であんなに強かったんだ‥‥?