朱い夏

どうも最近、体力がなさ過ぎる。平日など仕事から帰るとあとは動くのも面倒臭い。風呂に入るのが一苦労である。心理的なものでダラけているだけかと自分でも勘違いしていたが、どうもスタミナが一日もたないせいのようだ。空腹を満たしたら、ただ寝たい。
平日に仕事以外何も動けなくなってしまうと、意外と社会生活があやういのだ。どうせ残業でそう早くは帰宅できないのでたいしたことはこなせないにしても、洗濯物を干すにも身体が動かないほど疲弊しているとすれば、家の中の状態は推して知るべしである。おばさんは若い娘に比べて体調が安定するから元気だという世間の噂はガセだったのか。本来なら今が一番気力体力経験値の総合スコアで充実しているはずじゃないのか。
これではいかん。
体力増強計画として、少しでも継続して運動しようと思い立ち、仕事帰りに2駅ほど早足で歩いて帰ってみたのである。そうしたらば次の日の朝に起きられず大寝坊した。職場の人の冷たい視線が痛い。
どこまで体力がないのだと凹み、遅刻した日の帰りには養命酒を買い込んでヤケ酒を煽‥‥ではなくて、いきなり動く前にまずは生薬の力に頼り下準備してからにすることにしたのであった。
体質にもよるのだろうが、私の場合は割とこの手の薬種が効く。困ったときの養命酒。ずっと続けたほうがいいのかもしれないが、体調の良いときまで飲むのもバカらしいし、やっぱり喉もと過ぎると面倒なのだ。しかし今回養命酒を飲んだら、1時間後くらいに腹の真ん中がポツリと火種を落としたように熱くなった。いままでにない感覚で、なんだか余程身体が冷えていたのかと妙に合点がいく。去年から冷房病だの夏バテだのあそこが痛いのここが痛いのと、代謝落ちたまんまだったんだなぁ。80歳を過ぎてから入院するとそのまま寝付いてしまうというけれど、この落ちた代謝は私の年齢でどこまで回復できるのだろうか。若い時代が青い春と書いて青春なら、今の私は人生の季節でいくと晩夏なのか残暑なのか。なんだか回春薬を求めるオッサンのような気分である。