映画:アジャストメント(監督:ジョージ・ノルフィ)


全然違うんだが、なんとなくベルリン・天使の詩を思い出したりしていた。
観る前はフィリック・K・ディックの原作だというのでガチガチのSFなのかと思っていたのだが、SFはSFでも『少し(S)不思議(F)』のSFであった。ストーリーの本体は神話の時代から連綿と続く『運命と愛』についてである。シェイクスピアを換骨奪胎してSF風味に仕上げた趣さえあり、予想とは違ったけどこれはこれで面白かった。登場人物もみんな頭の回転が速く行動力もあり魅力的。なにがいいって、うじうじしてないから話の展開が速い。
運命の進行を示す帳面、別の場所に繋がる扉、帽子等々、道具立てがどこか端正なレトロさで好きだったな。あちらでも上下関係や役職の縛りとは無縁ではないというのに妙なおかしみがある。元が秩序だっていればこそ、ぶち壊す楽しみも生まれるというものだ。