さんすう

私は数字が苦手である。
苦手なんですといって済めばそれにこしたことはないが、何の因果か数字と付き合わねばならない仕事に就いてしまった。3桁の連番を数えられず、巻尺の目盛りすら読み間違うというのに、なんでこの仕事を選んだのだろう。
もともとは超が付くほどの文系だった。文系の学科を卒業して、しばらく働いてから理系の夜学に入り直した。そこも力学の先生に頭を抱えられながら、カンと無駄にある根性だけでなんとか乗り切って修了したのだった。
そこまでしてなにがしたかったのか。我ながら謎である。すべて就職氷河期が悪い。あの不景気がなかったら、バブルがもう少し続いていたら、いまここにいなかったことは間違いない。
しかし過去に「たられば」は無意味である。現状ここでこうしているからには、目の前にある数式を関数にしてExcelに落とし込まねばならない。基準となる数字がそれぞれ違う百分率を同じ表に表さねばならない。IFをいくつ重ねても答えを導き出さねばならない。だいたい百分率あたりから算数は落ちこぼれているとしてもである。仕事とは辛いもの。耐え忍んでナンボなのだ。
さあ、次は何だ。は? LOG? ナニソレ、うまい?