鳩の育児

ふと気がつくと隣のベランダで鳩の雛が孵っていた。
平日は起き抜けの寝呆け眼で飛び出したら半日以上たって夜にしか帰らない部屋なもので、いつの間に巣作りして産卵して抱卵してそんなことになったのかはよく判らない。週末にやけにピーピー声が聞こえるなと思ったら、既にぽしゃぽしゃの羽毛の塊となった雛がいたのである。隣家なのでマジマジと観察するわけにもいかず、ちらりと見えた程度だけども、確かにいた。夜は夫婦がぎゅうぎゅうに寄り添い隣家と我が家の間の衝立に停まって警戒態勢に入っており、洗濯物を干しになど出ると、鳩らしからぬ低い声で「ホッ! ホッ!」と脅される。
過日、鳩除けにカラスのシルエット模型を作った(2012-05-28 「鳩除けカラス」)のはどうしたのかというと、台風やら暴風雨やら何やらがあって1週間ほど取り外していたのである。その間にのっぴきならない事態に陥ってしまったものらしい。鳩にとっては専有スペースの境目など関係ないので雛を中心に円を描いて分け隔てなくテリトリー化したらしく、こちらのベランダも我が物顔で歩き回っている。再び模型を物干しに掛けてみたのだが、すっかり見破られたのか優先順位の問題なのかまったく気にする素振りもなく平気で侵入してくるのだった。
生まれてしまったものは仕方ない。殺すわけにもいかないし、そもそも問題の巣と雛は隣家の領域にあるのでどうしようったってどうしようもない。既成事実に押し切られる形でしおしおを模型を取り下げ、一刻も早く健やかな巣立ちがなされることを待つことにしたのだった。
やっぱり立体で模型を作らなきゃダメか。