映画:マイティ・ソー/ダーク・ワールド(監督:アラン・テイラー)


好きなんだよね、マイティソー。コミックのほうは読んでないんだけど、神話ものはだいたい好き。中でも北欧神話は激しくてけっこう狂ってる感じがしていいのよ。あと葬送はちゃんと薪を積んだ小舟に遺体を載せて火矢を射掛けるバイキングの風俗が踏襲されていて素晴らしい。こういうの重要だよね。ヘイムダルのいるビフレストのデザインもキラキラの歯車がいっぱいで、ヴィクトリアンな感じが好きな向きにはオススメだ。ただ柱の上に対空砲が載って動いてるのは普通すぎてちょっと味気ない気がしたが、ボート型の空飛ぶ乗り物と手榴弾がちょっと変わってるのは面白かった。丸太のように逞しい男神というのもいい。実にいい。地下鉄でのよろけた振りして胸にすがって「失礼」っていうの、やりたい。実にやりたい。
昨今のアメコミ映画のクオリティには安定の信頼感がある。あとはそのなかでシリアスなのが好きかちょっとコミカルなのがいいか、という好みの問題になってくる。マイティソーは劇場のあちこちからクスクス笑いが漏れてくる。しっかりとした世界観を反映したジョークに加えてアベンジャーズを踏まえたくすぐり、地球側の奇人変人の織り成すスラップスティックも抜かりない。目から鼻へ抜けるようなスパーン!という平手打ちも最高だ。クライマックスの次々と変わっていく場面のスピード感と急に切り替わることで生まれる間のコミカルさが絶妙で、実に楽しい映画であった。うろうろしているハンマーも可愛い。