読了:ニューロマンサー(ウィリアムギブスン)

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

ケイスは、コンピュータ・カウボーイ能力を奪われた飢えた狼。だが、その能力を再生させる代償に、ヤバイ仕事をやらないかという話が舞いこんできた。きな臭さをかぎとりながらも、仕事を引き受けたケイスは、テクノロジーとバイオレンスの支配する世界へと否応なく引きずりこまれてゆく。話題のサイバーパンク SF登場!

読むのに二十日以上かかった。実は続けて二度読んだ。一度目では筋を追うのに精一杯で、しかし雰囲気に浸れたら良さそうだと感じたから。
懐かしい手触りだ。多用されるルビ、体言止めの文体、細かい道具立て、不親切な説明と洒脱な言い回しの比喩、そして感傷。若い頃に夢中になったSFの雰囲気がそっくりそのまま目の前に広がった。ということは、たぶん、こっちが本家で私はその影響を受けたものを貪るように読んでいたのだろうな。こちらの脳神経がピキピキと音を立てて古い記憶に繋がる気がした。
たまに狭い入口の奥に無限の空間が拡がっているように感じる本がある。ニューロマンサーもそんな入口のひとつだ。