映画:永遠のこどもたち(監督:フアン・アントニオ・バヨナ)

孤児院で育ったラウラ(ベレン・ルエダ)は、長らく閉鎖されていたその孤児院を買い取り、障害を持つ子どもたちのホームとして再建しようと夫のカルロス(フェルナンド・カヨ)、息子のシモン(ロジェール・プリンセプ)とともに移り住んでいた。だが、シモンは遊び相手のいない寂しさから空想上の友だちを作って遊ぶようになり、その姿にラウラは不安を覚える。そして入園希望者を集めたパーティーの日、シモンはこつ然と姿を消してしまい……。

仕事帰りにひとりでレイトショーを観に行ったのだが、ちょっと後悔した。ゾンビや怪獣物やサバイバルものは平気なのだが、こういういかにもな心臓に悪いホラーに実は弱いんである。古い建物の記憶、風もないのにドアがキィキィ音を立てる、ぽっかり口をあける暗い入り口、狭い廊下の奥の逆光、そして子ども。映画の中で不審な物音がするたびに、座席に座ってこっそり縮み上がっていた。ひぇぇ、こわいよー、寒いよー。
しかし最後の謎解きで、何もかもが怖くなくなってしまう。怖くなくなるのは視点が『あっち側』に行ってしまうからだ。腑に落ちてしまうけど、安心できない。簡単に『ああ、そうか』では片付けられないけど、それ以外に言葉が出てこない。背景のレトロな美しさも哀しみに相乗効果。ふと考えると、救いがないのが救いなのだな。それでも人は願い事を唱える。
蛇足だが、この夜は久しぶりにはっきりした夢を見た。私にとってはそれほど衝撃度の強い映画だったのかもしれん。