皮膚感覚


よく女性同士でもペタペタ触りたがる人がいるが、私は人に触られるのが苦手である。そういう人間関係が好みじゃないなんてヌルい話ではない。肉体的に苦痛なんである。
ちょっと肩や腕に優しく手を添える程度ならいい。だが突っつかれるのは厭である。身体に触れる面積が大きければそれほどの不快感はないのだが、荷重面積が小さいとダメなんである。指先程度の細いもので擦られたりすると最悪である。うっひゃー、やめてくれー、という感じである。やられると血圧が上がり心拍数が増大し瞳孔が開き加減になりノルアドレナリンが放出されて衝動的に相手を鈍器のようなもので殴り倒したくなるほどの不快感があるのだが、なかなか理解してもらえない。これが痛いとも痒いともくすぐったいともつかない皮膚感覚なので説明が難しいのだが、とにかく厭で厭で堪らない。普通の健やかな人よりも、少々刺激を強く感じやすいのだ。私は物心ついたときから全身アトピーで乾燥肌なんである。
嫌がっても『くすぐったがり』としか思ってもらえなくて、非常にツライ。逆に軽く面白い弱点だと思われて、からかい半分でわざとやられることすらある。相手に悪気がないのも判っているし、むしろ親愛の情の表明なんだろうし、無粋に臍曲がりな事など言わずにできれば気持ちよく楽しく参加したい。しかし感覚的には非常なストレスであるというジレンマ。嫌がるほうも『楽しいはずのことが自分にはできない』という諦めと『好きな友達をガッカリさせる』という苦渋に満ちた心境なんである。大人になるとだんだんそういう機会も減ってくるが、学生の頃はじゃれあいが本当に辛かった。
乾燥系のアトピーさんには多かれ少なかれそういう傾向があると思うので、そういう人もいるんだとちょっとだけ気をつけてあげて欲しい。人によって程度は違うだろうが、私の場合は手のひらくらいの大きさの面ならまず大丈夫。指の腹で触られるのもまあまあOK。指先で引掻くようにされるのはNGである。力の度合いも関係があって、そっと叩くような感触や面でしっかり押えられる感じは大丈夫だが、くすぐられたり皮膚にめり込むほど強くしつこくやられるとキツイ。あと、湿度と油分分泌量の多い夏場はわりと平気で、乾燥する冬場はより感覚が過敏になっている。
それでもどうしても触りたい事情があるときは、これでもかというほど優しく物足りないほどそっと腫れ物に触るように大事に扱おう。そういう人は神経過敏なので、自分だったら何も感じない程度の刺激でも、しっかり受信できるから大丈夫。

ドライスキンの痒み

  • ドライスキンを呈する疾患の皮膚では、バリア機能が低下していて、経表皮水分喪失量(TEWL)の上昇とともに、角層の水分保持機能が認められる。このため皮膚は乾燥し、種々の刺激に容易に反応して痒みを来す。
  • アトピー性皮膚炎、腎不全、胆汁うっ滞性肝疾患、老人性乾皮症などみられる。
  • 明らかな皮膚炎が認められられない乾燥した細かな鱗屑と亀裂を示す皮膚の状態であり、痒みを伴うことを特徴とする。
  • バリア機能の障害が生じていて、多彩な物理刺激(発汗、乾燥、紫外線、温熱、掻破など)に対する特異的な易刺激性の亢進を招き、非アレルギー的機序によって痒みを惹起や増幅に関与している。
  • ダニやハウスダストなどの抗原の進入をも容易にし、アトピー性皮膚炎などにおけるアレルギー的機序を介した皮膚炎などにおけるアレルギー的機序を介した皮膚炎の痒みの増悪とも関連している。
  • ドライスキンの部位において、多数のC繊維が表皮内に侵入・伸展していて、一部は表皮上層にまで達する。これらの表皮内神経線維は、分布が不均一で所々で密度が非常に高く、ここの線維長も不規則であり、長い線維では表皮内での枝分かれが観察され、しばしば近接した線維が互いに接触するなどの異常な分布を示す。
  • 保湿能規定因子の減少やTEWLの増加に代表されるバリア機能の低下と、表皮ない感覚神経線維の不規則な増加は、外部からの物理的・化学的刺激に過敏な状態、すなわち痒みを伝える求心性のインパルスが生じやすい感覚過敏状態にあると考えられる。
  • 入浴のために裸になると痒みを感じるのは、急激な外界温度あるいは湿度の変化が角層直下の自由終末を活性化させるためであると考えられる。TRPV3およびTRPV4は表皮角化細胞にも発現していることから、表皮細胞が温度受容体として機能している可能性が指摘されている。
  • 神経栄養因子の関与

http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/itch.html

C線維は、痛覚を伝導するが、C線維には、ヒスタミン受容体(H1受容体)や、サブスタンスP受容体(NK-1R)も、存在し、痒み感覚も、脳に伝導する。
http://hobab.fc2web.com/sub4-fiber.htm

しかし、こないだから自分の身体に関する話ばかりしているな。物理的な接触のみならず、人とのふれあいに二の足を踏む私の人格形成には、こういう因子も関わっているのかもしれん。